9.Difference IN Level 番外編 




−−ガリガリガリガリガリ・・・・・・



いつものようにアリーが開かないドアの片隅で、朝から勢い良く爪を磨いでいた。
キョーコはしばらくした後その音に気付いて、ひどく重い頭をのそりと動かして、扉の向こうにいる可愛い猫時計を止めようとベッドから降りた。


「おはよう、アリー・・・」

「ナァァゥ」

屈んでぎゅっとアリーを抱くと、アリーもキョーコの顔を何度も舐めて朝の挨拶をした。

「くすぐったいわ、アリー・・・」

いつものように朝から元気なアリーに、キョーコが思い切り目を細めて微笑む。
まだ身体が重くて、いつものようにキッチンに向かう気にならない。

そんな事はお構い無しに、キョーコのその嬉しそうな様子にアリーが顔を舐めるのを止めず、キョーコはアリーを抱えたまま、蓮も舐めて起こしてもらおうと、ベッドに戻った。

「アリー・・・蓮も起こして?」

そう言ってベッドにのって、まだ目を閉じたままの蓮の横にアリーを置いた。
けれどアリーはキョーコの腕から出たくないとばかりに、キョーコにすがった。

「ナァァァ!」

「アリーってば・・・」

その様子があまりに可愛くて、仕方ないわね、と呟いてちゅっと頭にキスを落として。
また抱きなおすと、今度はキョーコとアリーは揃って蓮の横に寝そべった。

「これなら、起こしてくれる?」

そうして蓮の横顔近くまでアリーと共に寄り添ってみる。
まだ気持ち良さそうな寝息をたてる蓮の顔にアリーを差し出すと、ぺろりと顔を舐めた。

キョーコとアリーが横で会話をしているのにも係わらず、アリーが起こそうと顔を舐めたにも係わらず、蓮は寝るのが遅かったせいで完全に熟睡している。

「ダメみたいね。」

そうキョーコもくすくす笑って、アリーを抱えて、目を閉じた。

「アリー今日はね、二人ともお休みなの。だから・・・もう一度寝よっか?今だけはここで寝ていいからね?」
「ナァァ」

返事とばかりにキョーコの頬をひと舐めしたアリーは、くるりとキョーコの腕の中で小さく丸まった。

そしてキョーコもアリーの優しい温かさを指で楽しみながら、ゆっくりと再び楽しい夢の中へと戻った。





その後キョーコが見た夢は・・・・・。



もちろん蓮の「妖精」の夢・・・・。




川の字で、3人と1匹が日向ぼっこしている夢だった。







−−ぺろぺろぺろっ・・・・


「ん・・・アリー・・・」


−−ぺろぺろぺろっ・・・・


「・・アリー・・・・今・・・蓮の赤ちゃんが・・・起きたくない・・・・」


−−すりすりすりっ・・・・


「・・・・アリー・・・」


さすがに顔にすりすりと柔らかい毛の感触がして、キョーコにふっと意識が戻る。


まだ楽しい夢の途中だったのに、と半分寝ぼけたまま、光が目に飛び込む。
と同時に、目の前にはアップのアリーの顔。

そして、ふわりと優しく微笑んだまま上から覗き込んでいる蓮の顔があった。

「おはよう」

「ん・・・・蓮・・・・?」

「良く眠れた?」

−−すりすりすりっ・・・・

「んっ・・・・アリー・・・くすぐったいわ・・・もう起きたのっ・・・ありがとっ・・」

まだ寝ぼけているキョーコに、「早く起きて」とばかりに、舐めたり擦り寄ったりするアリーに、キョーコも徐々に目が冴えていく。

「やっ・・・・蓮・・・アリーどかしてっ・・・・くすぐったい・・・」

「キョーコちゃん?川の字、したくなったの?」

「えっ・・・・・?」

「だって・・・アリー抱えて寝たら・・・・見られたんでしょ?」

「うん・・・。」

「じゃあ・・・・今度・・・・ね?」

「・・・・うん・・・」

「大好きだよ・・・・キョーコちゃん・・・・」

ぎゅっとアリーごとキョーコを抱えた蓮も、アリーと共にキョーコの顔に擦り寄って、いつもの朝の挨拶を交わした。


「・・・・くすくす、同時になんて・・・・くすぐったいわ・・・・」


「ねぇ・・・・・どんな夢、見たの・・・・?」

「・・・・蓮と私と・・・アリーと・・・赤ちゃんでね、日向ぼっこする夢・・・」

「へぇ・・・?いいね、それ・・・・。・・・・・・どうする?」

「えっ・・・・?いいっ・・・ってば・・・昨日だって散々っ・・・・」

「おや、幸いにして今日は・・・オフだね。一日中抱き合ってても平気だよ?」

「・・・・・」

「ふふ・・・真っ赤で可愛いね・・・。ウソだよ。じゃあ起きていつものカフェにアリーも連れてお昼を食べに・・・・行こう。夕方からは・・・離さないけどね・・・・・・・。」

「・・・・蓮・・・・すきよ?」

「・・・・くすくす・・・・・。夕方からさらに時間、繰り上げる?」

「や・・・そう言うコトじゃないけど・・・ただ、なんか・・・すごい幸せで・・・。ねぇアリー・・・?温かいっていいね。」

一度ぎゅっとアリーを抱きしめて、身体を起こして、蓮の胸にぴとりと額をくっつけた。

「ぎゅってして?」

「うん?」

「お願い。」

「なんだか・・・・アリーのようだね。」

「そうね・・・・・私、ある意味アリーになりたいわ・・・・・」



お互いぎゅっと抱きしめて、すりすりと互いの頬を合わせて。



それだけの事が本当に幸せで。



キョーコもふわりと蓮に優しく微笑を向けて、また抱き合った。




「蓮?・・・・あったかいっていいね・・・・」

























誤字脱字王の私の作品につき細部にわたりチェックしてくださる素敵なお客さまに御礼にプレゼントさせて頂きました。
いつもありがとうございます(^^)。おかげで毎回助かっております。これからも見捨てないで頂きたいです(汗)。