4.僕の日常-朝-




こんにちは、アリーだよ。お久しぶりだね。
僕の一日をお話するね。今回は朝のお話だよ。

僕の毎日はまず朝五時に起きて、五時半頃までに蓮のベッドに潜り込んで、起こすところから始まるのね。最近はキョーコちゃんが一緒に住むようになってくれたから、僕は蓮じゃなくて、キョーコちゃんを起こすの。だってキョーコちゃん大好きなんだもん。

蓮はいつもドアを僕の通れるぐらいだけ開けておいてくれる。
僕はその隙間から入って、ベッドに乗ってキョーコちゃんの顔を舐めて起こすのね。僕がベッドに乗るとすぐに気付く時もあれば、どんなに舐めてあげても起きない時がある。そんな時は、仕方ないから啼いて起こすんだけど。
それでも起きなくて、蓮が先に起きた時は、僕は蓮に任せちゃう。
蓮が起こせばキョーコちゃんはすぐに起きるよ。ずるいよね。
僕は毎日欠かさず頑張っているのに。
こんな時は蓮みたく、同じ言葉をしゃべれればいいなと思うんだけど。

でも今日みたいに、蓮がドアを開けておいてくれない時は、爪をといで音で起こすのね。キョーコちゃんがドアの隅に僕用につけてくれた。
だって・・・ドアで磨ぐと蓮が怒るんだもん・・・。

「おはよう、アリー・・・今日もありがと・・・。」

ドアを開けてくれたキョーコちゃんは、まだ半分寝ぼけたままだったけど、僕を抱き上げてすりすりと頬を寄せて、毎朝の御挨拶を僕にしてくれたよ・・・・vvv
やっぱりキョーコちゃんは優しくて、大好き。

そして僕を降ろすと、まず僕の為のミルクとご飯を用意してくれる。
僕がのんびりそれを楽しんでいる間にキョーコちゃんは、蓮を起こしに行って、あっという間に朝ごはんと二人分のおべんとうを詰めていくの。

んー・・・いいにおい。

「アリー、煮干食べられる?」

キョーコちゃんは僕の目の前に、初めて見るものを置いてくれたよ。
なんだかとてもふにふにしたもので、でも、お魚のにおいがしたから・・・食べてみた。

けど・・・あんまり美味しくなかったよ・・・。

「アリー・・・これダメだった?ごめんね。」

そう言って笑って、キョーコちゃんはふにふにしたそれを下げてくれたのに。
シャワーを浴びて石鹸のいいにおいがする蓮が入ってきて、僕の頭を一度撫でたあと、

「キョーコちゃん、あんまりアリーを甘やかしたらダメだよ。」

そう苦笑いで言って、いつもの席に座った。


蓮、朝から僕に何の恨みがあるっていうの・・・・?


「カルシウムはミルクから摂って貰ってるから大丈夫だと思うんだけど・・・。猫って煮干食べるのかと思ってた。そのままあげたんじゃ硬いし塩気が強いかと思って・・お出汁とった後にしてみたんだけど、それでもダメだったみたいね。蓮と違ってアリーは美食家なのよ。ね?アリー。」

「ナァァァ。」

キョーコちゃんが僕をかばってくれたよ。
いいでしょ、蓮。

だから僕も蓮にいつもの御挨拶をしないで、キョーコちゃんの足にしっぽを絡めたんだよね。僕って・・・大人気ないかなぁ?キョーコちゃんも笑って、僕の喉を撫でてくれた後に席に着いたよ。

「ヒドイな・・・オレはアリー以下?」
「だから朝は・・・おにぎりとお味噌汁と煮物があれば済むから・・・助かっちゃう。もちろん夜は頑張るけど。あ、アリー・・・甘シャケなら食べられるかな?」

足元にいた僕に手に乗っけてオレンジ色のそれをちょっとだけ分けてくれたよ。
こっちはおいしかった。
お礼にキョーコちゃんの手のひらもしっかり舐めてあげたら、蓮はさらにむくれたよ。

「ね?やっぱりアリーは美食家なのよ。今度はちゃんと食べたし・・・機嫌よさそうだもの。」

キョーコちゃんもにっこり笑って・・・・嬉しそうにしたのに、蓮はあんまり嬉しそうじゃなかった。

あ、僕が羨ましいんだ、きっと。ふふん。

「キョーコちゃん・・・あんまり甘やかしすぎると・・・アリーの好き嫌い、増えるよ?」

「ふふ・・・蓮て、いいパパになりそう。でもきっと女の子が生まれた日には・・・目に入れても痛くないぐらい甘やかしすぎて・・・今度は私が同じ台詞を蓮に言うんだわ、くすくす・・・。お嫁に行くのが大変なのが目に浮かぶわね。でもアリーがいるから蓮の妖精さんはまだ来なくてもいいけど・・・。」

「ナァァァ?」

キョーコちゃんは僕を抱き上げて、ぎゅってしたあと足の上に乗せてくれて、またご飯を食べ始めたけど。
蓮は珍しく、正直に拗ねてたよ。
蓮も僕に負けず劣らずキョーコちゃん大好きだからね。
僕が可愛がられすぎると、拗ねちゃうのかな。

「アリーがいる限りオレは君の妖精には会えそうに無い?」
「アリー次第じゃないわ、妖精さんは・・・神様次第・・・ね、アリー・・・。」

キョーコちゃんは僕を下ろすとまたにっこり笑ったけど・・・。

ねぇ蓮、僕がいる限り、その妖精さんが会いに来られないの?
妖精さんが来たら、僕はいらないって、言われちゃうの?
僕が、蓮とキョーコちゃんが会いたいっていう妖精さんっていうのになれたらいいのにね。

何となく寂しくなって、キョーコちゃんにまたしっぽを絡めて、体を擦り付けた。

「ほらぁ、蓮。アリーが甘えっ子になっちゃったわ。ちゃんと分かってるのよ、私たちの会話。きっと、寂しくなっちゃったのね、よしよし。」

キョーコちゃんは、僕を抱え上げて一度撫でてくれて、蓮の腕の中まで運んでくれたよ。

蓮には朝の御挨拶しなかったから、ちょっとだけ・・・うしろめたいんだけど・・・。

「はいはい、アリー?お前がいてくれないと起きられないし、キョーコちゃんも拗ねちゃうし、オレも困る。オレ達の妖精が会いに来たら、お前に見せてあげるよ。ずっと一緒にいて欲しいからね、好き嫌いなんてしないで、ちゃんと食べて。もしお前が好き嫌いたくさんして病気になったらキョーコちゃん、泣くよ?イヤだろ?」

蓮は僕を抱えてちゅっとおでこにちゅうをして、撫でてくれた。

蓮は僕に妖精さんを見せてくれるつもりみたいだよ。
良かったぁぁ。
でも・・・僕はやっぱりその妖精さんにはなれないんだね。
それがちょっとざんねん。

でも僕はえらいからね、また明日の朝も頑張って起こしてあげるね。
今度からはキョーコちゃんだけじゃなくて・・・蓮も起こしてあげるから。

それから、キョーコちゃんに泣かれたらイヤだから、好き嫌いはしないようにするけど・・・・・・あのふにふにのお魚はできるだけやめて欲しいなぁ・・・・。