一つの、一つを。




声をひそめて・・・




ある日、蓮が腕の中のキョーコに尋ねた。


「君にとって愛とは何?」

「目を閉じていても感じられるあったかい体温。優しくて、あったかいもの全て。愛が・・・こんなに身近に溢れていて、あったかいものとは気付かなかったの。・・・・蓮にとって、愛とは何?」

「・・・・・・・・・・・」


今度は、蓮が返答に困ったから、その体温を分け合いながら、

「一つを、二人で分け合う事・・・かな。」
「例えば?」
「同じ記憶、同じ道、同じ時間。何か同じモノを、半分に割って、半分がオレ、半分が君・・・。同時に同じ事に逢える。一つの何かがあるとしたら、それを半分に割る。愛も半分。痛みも半分。何でも半分、自分以外の一人が全てを分かってくれるから、半分だけ、辛くなくなる。」

蓮はキョーコの手を握る。
キョーコは蓮の身体に、自分の身体をゆったりと預けた。

「二人が一つの同じ夢抱いたとしても、半分に出来るわ。」

「うん。だから・・・・オレのベビーは、オレと君の愛の半分ずつを合わせる。すると、もう一人オレたちの時間と同じ時間を歩んでくれる愛がもう一人いてくれる。兄弟姉妹ができたら、もう一人・・・。だから、オレはベビーがいて欲しいんだけど・・・でも、君と気が済むまで恋をしていたい気もする。神様次第。」

「・・・・じゃあ、蓮にとって恋とは何?愛とは違うもの?」

「・・・・恋は・・・・欲。独占欲。自分だけの気持ち。半分にしない気持ち。ベビーにも分けてあげられない、オレだけの激しい気持ち。一つしかない気持ち。半分にしたくなった時は恋が愛に変わるけど・・・・でも、時々半分が、一つに戻りたがる。それは、君が恋心ではなく優しい愛を誰か男に半分に分け与えている時とかに・・・。そうだね、嫉妬かな・・・。あとは・・・君がオレに愛を半分分けてくれた時・・・・。その半分は、誰にも渡さないって・・・そして、オレの半分を差し出して・・・・・・それを逃がさないように・・・。だから、欲、かな。」

「じゃあ、私も、恋、たくさんしてる。半分にしたくない時が、ある。・・・毎日こうして、同じ時間と温かさを分け合っているのに。半分に割って愛にして・・・たまにまた、恋してる。私ひとりに・・・欲しいって・・・。」


キョーコは、首に腕をするり、と回した。
優しく微笑む蓮の唇を引き寄せる。
温かく、柔らかい感触のする唇。

「ねぇ蓮、今は、愛?恋?」
「今は、恋愛。」
「ふふ・・・愛を半分に割って、キスして二人で一つに戻して・・・恋して・・・・。」


会話も、声も、唇の上で半分自分の振動のように分け合いながら、二人はクスクス、と笑った。


「どっちでもいいね。」
「うん、どっちでもいい。だから、私だけを愛してね。」
「オレが君に半分分け続けた愛で、君が満ちたらいいのに・・・。」
「満ちているから、私も、半分分けてあげられるの。きっと、溢れすぎて出てしまうのね。」


次第に会話が囁きに変わっていく口付けから漏れる優しい吐息は、愛から恋に変わり、そして、また、愛に戻った。


一つの愛を分け合って、ひとつに戻る。
二人が見る、まるで輝くようなそれに、二人で手を伸ばして分け合って、また一つになって・・・・。
一つの、一つだけの愛を二人で分け合う。
そして、優しい気持ちが、一つ、生まれる。
理性が遠のいたその遠き果てには、互いを求める瞬間しかない。
互いを独占した、欲。


「愛が身体の中に流れ込んできて・・・心が優しく満たされる瞬間って、必ず、あたたかいの。冷たいってない。でも、心の愛の温度計が壊れている事もあるけど・・・・。」
「うん・・・でも今は・・・。」
「・・・あったかい・・・。」


ほのかに愛と夢の狭間を漂いながら、恋との境目で、二人はあたたかい夢を見る。


キョーコが、ゆるく甘く蓮の唇を食んだ。


「おやすみなさい。」


蓮の手を握ったキョーコに、蓮はやさしいくちづけを落とした。


「おやすみ、いい夢を。」


















2008.4.23



自ら23万をふみ、自ら祝ってみました。
キリでも何でもないんだけど・・・折角なので・・・。
自分で自分にリクエストをしてみた。

恋人同士のとにかくラブラブなのがいいな♪


・・・・コレこそヤマナシオチナシイミナシの王道です。

でもなんとなーく、何となくでも、頭で考えるでもなく、ほわ〜として貰えたらうれしいですなあ・・・。