ハタチ、プラス一歳の苦悩@ブルースプリングと書いて青春と読む
(@22巻総扉悶絶記念/標準語です編)




「・・・・・・京子ちゃん、好きだよ」



シンプルな部屋の隅で、小さく縮こまるのは石橋光、二十歳。
・・・・・・・・ハァ、と大きな溜息が部屋に響く。
うまく言えるのは、自分の部屋の中でだけ。


それなりに顔の売れた人間、道を歩けば「可愛い」と言われ、番組での収録でも先輩の女性達から「可愛い」と言われ、同じぐらいの女の子には、「いい人」と言われる。このキャラクターがいいと言われて、呼んでもらえる仕事もある。

でも!


男としては、「カッコイイ」とか、「男らしい」とか、言われてみたい。いっそ、このキャラをやめてみてはどうかと思うが、ではそれをやめてみた所で、自分の仕事があるのかどうかは分からないから、今のところ、「石橋 光」というキャラクターはそのまま保たれている。


「ちゃんと言えたらいいんだけどなあ〜」


ファンからプレゼントされたペンギンのぬいぐるみに話しかける。



「どう思う?やっぱり、京子ちゃんも、敦賀さんみたいな大人の男の人みたいなのがいいのかなあ?」



−−・・・・・・・・



背が高く鍛え抜かれた身体、仕事も上々。彼が歩けば女の子のハッと息を呑む音と、溜息。それが、何を意味しているのか分からなくは無い。男の自分でも「あぁなれたらいいのにな〜」と漠然とは思う。ハタチも過ぎたし、そろそろ自分の背の成長ももう無いだろうが、せめて身体を鍛えぬく事ぐらいはできそうだ。


「・・・そうだ、今度は、仕事の時以外にも、食事に誘ってみようかな?」


でも女子高生を連れてどこへ行こう?
光は制服姿のキョーコと、自分が並ぶ姿を想像する。


爽やかに、公園とか?いやいや、ベタ過ぎる・・・。やっぱり、職業柄の映画?でも遅くなっちゃいけないよな・・・・、じゃあ、食事・・・・ってゆっくり食事が出来る所ってなると、テレビ局周辺のある程度芸能人慣れしたお店だよな・・・。そういえば、キョーコちゃんて何が好きなんだろう?だって、ダイエットしているって言っていたし・・・。女優さんだとしたら、ヘルシーなお店とかがいいのかな?お酒はもちろんダメだしな〜・・・。


などと、悶々と考えてみる。
しかもどうやったら、自分を男として意識して貰えるようないい雰囲気になるのか。考えて、考えて、出た答え。


冬なら、海辺とかなら、もしかして、もしかすると、手をつなげるかも!


一人で妄想して照れ、被害に遭ったのは、目の前のペンギンのぬいぐるみ。バシバシ何度も手で顔を叩かれる。




「なんか、いい雰囲気っぽくない?誰も居なくて、いい雰囲気になったら、もしかしたら、告白できるかもしれないしっ・・・!」




今度は、ペンギンのぬいぐるみはその形を留めないほどに光によって潰された。




そして、元に戻されると、「なんか、最高じゃない?」と話しかけられ、




−−・・・・





「うんうん、」と無理やりうなづかされた、ペンギンのぬいぐるみは、ようやく、元の位置に戻された。





「それに京子ちゃん、料理上手だから、手作りのお弁当が食べたいって言ってみたら、作ってくれるかもしれないしっ・・・」




−−・・・・




どんどん膨れ上がるデートへの想像は、ペンギンにも止められなくなったようだ。




「きっとお弁当も美味しいんだろうな〜・・・。将来いいお嫁さんになるよね〜・・・・」



台所に立つキョーコ。エプロンをするキョーコ。自分の為に食事を作るキョーコ。キョーコと自分の、ちょっとしたイケナイ想像。

将来のキョーコと自分の温かな家庭を想像して、真ん中に子供が二人、などと、ついにそこまで想像は終着した。





−−・・・・(ペンギンではなく光の姿)





ゴロゴロ、ゴロゴロ、と、床に転がり、肌のこそばゆさを消そうとした光は、「ヨシ!」と、一人気合を入れなおした。





*****



「・・・・・・でさ、今日京子ちゃんをプライベートで遊びに誘ってみようと思うんだよね」



石橋姓が三人集まり、LME内を歩く。



「へぇ〜。頑張れば〜?」
「積極的ー」



そんな話をする向こうからは敦賀蓮が優雅に歩いてくる。
煌びやかさを纏いながら。



「あ、敦賀さんだ」


と光が言うと、「ん?」と二人が言った。


「敦賀さん・・・?この間ハタチって聞いたけど。早生まれなのかな?タメか一個下なら、敦賀君でいいんじゃないの?」



「・・・・・・えっ・・・・・・・・・・!」



――マジで?




あんなふうになりたいと思ったのに・・・・・・・・・・・!





そして、22巻総扉に続く・・・・・・・・・・のかもしれない(笑)。




P.S ショックで、その日キョーコさんを誘える事はありませんでした・・・。



******************


2009.6.20


・・・・・あんまりに22巻総扉に悶絶して、22巻部分の本誌を読んでいた頃から一人悶々と温めていた話に、オチがやって来た〜と思って、遊ばせていただきました・・・・・。


光さん昔から大好きです・・・!



しあわせになってね。



ペンギンに話しかける話でしたので、ペンギン素材を見つけてみたら面白いページを見つけて、文章の間に挟みこみ遊ばせて頂きましたm(_ _)m。ちょっと鬱陶しいページになってしまってごめんなさいね〜。


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