魔法の国のきょーこたん@赤ずきんちゃんと犬の王子様 その3


『・・・・・好きなんだ?おうじさま?』
「・・・・・童話大好きだものっ。」


ぶすぅ、と頬を膨らませると、キョーコさんは、「じゃあやっぱり泉で身を清めるから」と言って、乾いた赤ずきんをもう一度取り外します。

『わ、分かったよ。オレたちはあっちに行っているから、終わったら呼んで。』
「オレたち?」
『そこの鳥。』

虹色の鳥は、ずっと木の枝に止まり、上から二人を眺めていました。

「魔法犬のお友達が鳥さんなの?面白いっ。」


鳥さんに手を振って、そして、犬にキョーコさんは改めて自己紹介をしました。


「私ね、キョーコ。キョーコちゃんって呼んでね?貴方は?」
『オレは・・・コーン。』
「コーン・・・?」
『え・・・・・?』
「あのね、むかーしむかーしね、この泉でコレをくれた妖精さんもね、コーンって名前だったの。」
『え・・・・・?』
「あなた、とってもいいお名前!きっと魔法犬でも、コーンと同じようにすごいのね。」

コーンと呼びながら、すりすり、ともう一度、その黒い犬に頬ずりをしたキョーコさん。その間に手からこぼれたお守りが、ころころ転がり、泉に落ちました。


――ばしゃん!!


「い、いやぁぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!」


その声は、森じゅうに響いたのではないかというぐらい、とても大きな声で、さすがにその真っ黒な犬も、耳をふさぎました。急いで泉の底を覗いてみても、とても深くて見当たりません。

「アレは大事なっ・・・コーンから貰った大事なお守りなのにっ〜〜〜〜〜。えぐっ・・・。」
『・・・じゃあね、拾ってきてあげるから、オレのお願い、聞いてくれる?』
「なんでも聞くわ。私に出来ることなら・・・・。」
『じゃあ、今日一晩、君のうちに泊めてくれないかな?』
「そんな事でいいならいいわ。お願いだから見つけてきてね?」
『そうだ・・・じゃあね、君の魔法でオレを元に戻せる?』
「だって、魔法犬なんでしょう?元に戻したら、ご主人さまの所にもどってしまうじゃない。」
『オレが、魔法犬だなんていつ誰が言ったのかな?』
「あれ?・・・・そうよね?あなた、魔法犬じゃないの?ただの犬?それとも話せるなんて、100年生きて神さまになってしまったの?」
『・・・どうして、オレが人間だと思わないのかな・・・。』
「に、人間なの〜〜〜〜????」


びっくりして、腰を抜かしたキョーコさんは、がさがさがさ、と下がり、木の幹に頭をぶつけました。

『そんなに驚かなくたって。だって、さっきの彼だって蛙になっていただろう?』
「ば、化けていたのね〜〜〜〜!!ひどいわ、黙っているなんて!!」
『・・・・君は魔法使いなんだろう?気付かなかったのかな?』
「コーンは、本当にすごい魔法使いなのね。全然気付かなかったものっ。」
『じゃあ、彼のように元の姿に戻してくれる?』
「わかった、待っていて・・・。」


――ぽんっ☆


「やあ、初めまして。」
「こんにちは・・・・な・・・なんでそんなに大きいの?」
「さあ?もう、人の前で裸になるのは、危ないからやめて欲しいな。」
「・・・ご、ごめんなさいっ・・・・///。」


泉にもぐる為に、上着を脱ぎ始めたコーンさん。「後ろ向いてます」とキョーコさんが照れて木の幹を抱きしめました。


――ぽんっ☆


コーンさんは、自らの姿を魚に変えると、さっさと泉にもぐりました。しばらくして、ばしゃばしゃ水辺で音がするので恐る恐る振り返ると、魚が「お守り」を咥えて、そこに居ました。

「あ、ありがとう!!!」

大事な大事なお守りが戻ってきて、キョーコさんは泣きながら魚にお礼を言いました。そして、服をその魚にかけて、元の姿に戻す魔法を唱えました。


――ぽんっ☆


「良かったね。」
「ありがとう、ありがとう、コーン!!コーンから貰ったのがコーンから戻ってくるなんて、なんて素敵なめぐり合わせなんでしょう。」
「はは・・・・。そうだ、これから、この泉で水浴びをしなければならないんだろう?見張っていてあげるから、今度は水浴びしていいよ?おーい。」


――ばさばさっ・・・・


虹色の鳥がコーンの腕の上に止まり、そして、ぺこり、と頭を下げました。

「はじめまして、鳥さん。」
『こんにちは。』
「私も鳥になってみたいなぁ。」
「オレが、鳥にしてあげようか?」

――ぽんっ☆・・・・



『ニ、ニワトリ〜〜〜〜!!』


泉に姿を映したキョーコさんは、虹色の鳥になれなくて、ちょっとばかりがっかりしました。しかもとても小さな姿で、まるで指人形のようです。


「可愛いだろう?」
『えぇっ・・・・。』
「そのまま水浴び済ませてしまいなよ。人の姿だと危ないからね。オレが、水浴びを手伝ってあげよう。」

コーンさんの、手のひらの上に乗り、ばしゃばしゃと泉の中で身を清めました。

「よく出来きました・・・。」
『・・・・・。』


――ぽんっ・・・☆


「やっぱり、人の姿のほうがいいです。」
「・・・・そうだね。」



その日の晩、キョーコさんはコーンさんを再び黒い犬に戻し、ベッドに抱えて入れてあげました。


「うちには私用のベッド一個しかないんです。魔法犬だと思っていたので、床でもいいと思っていたんですけど・・・寒いから・・・・。それにこの方があったかい!!」



――すやすや、すやすや・・・



『全く・・・君は、本当に無防備なんだから・・・・。』



犬のコーンさんを大事そうにぎゅうと抱えた小さな赤ずきんちゃんの無垢な寝顔はとても可愛らしくあり、とても大きなため息をついたコーンさんに、キョーコさんは相変わらずぐっすりと眠っていて、気付かないのでした。






もうちょっとだけ続きます☆



2007.03.17