魔法の国のきょーこさん@めいどさんになってみる。




キョーコさんはお城に行った時、女の人が皆着ている「制服」というものがとても羨ましくありました。そして、元来おうちの事やお掃除はとても得意なキョーコさん。でも、その制服を着てお掃除やお料理をしたら、どんなに上手に出来てたのしいだろうと思いました。そして、一度でいいので、「制服」と名の付くものを着てみたかったのです。


「あのぅ・・・。」
「はい、何でしょう、キョーコ様。」
「あの・・・その・・・そのお洋服を、私も着てみたいんです。」
「いけませんっ。キョーコ様が着るような服ではないんです。コレは仕事用の服ですから。これを着てお城を歩かれたりなどしたら、私たちが怒られます。」
「じゃあ、お城で着なければいいのですね???(きらり)」
「はぁ・・・。」
「じゃあ、一着貸して下さいっ☆すぐお返ししますから。」
「蓮様や、宰相様に見つかったら、わたくしたちが罰せられます。見るだけにして下さいませね。」
「はい♪」

少々心配そうな顔をした蓮様のお部屋付きのメイドさんから衣装を預かると、キョーコさんは満面の笑みで、おうちまで帰りました。


早速着ると、くるりん、と一度鏡の前で回り、ひらひらした裾の長いスカートを楽しげに揺らしてみます。「似合うかしら?」と言いながら、ひとり、うふふ、と笑いました。


制服を着て、床をぴかぴかに掃除し、玄関を掃除して、しあわせ鳥に餌をあげて、畑のお野菜をもぎ、夕飯の支度をしてみます。

いつもより、ほんの少し家が綺麗になったような気がして、キョーコさんは尚更満足げです。お料理も、鼻歌を歌いながら作りました。


「ふんふんふふ〜ん♪」

ご機嫌なキョーコさんは、蓮様が大好きなスープを味見します。やっぱり、いつもより美味しい気がして、「制服」というのはなんてすごい魔法をかけてくれるのかしら???と、一人感激しきりです。


そんな中、バタン、と木のドアが閉まる音がしました。


――蓮様が帰ってきました。


「ただいま、キョーコちゃ・・・・・・・ん・・・・?????」
「お帰りなさい、敦賀さんっ☆☆☆」


一度でいいから着てみたかった「制服」を着て、給仕が上手になる魔法にかかっているキョーコさんは、満面の笑みで迎えます。蓮様は、城で支給されている制服を着るキョーコさんにびっくりして、「何でそれを着ているの」、と思わず問い詰めるように言いました。


「一度でいいから着てみたかったんです♪」
「それはメイドの着る服だろう。君が着たいドレスとは違うよ。」
「これも立派なドレスなんですっ!!!!だってこれを着たお城の皆さんはとってもお料理が上手で、それに綺麗ですっ。」


蓮様が素直に「似合う」と言ってくれないのが少々不満げなキョーコさん。あくまで蓮様にとって幼い頃から見慣れた作業着であるそれを似合うなどと言っては逆に乙女に失礼かと思い、まさかキョーコさんが期待したような言葉を投げかけるはずもありません。そんな蓮様なりの気遣いに気付かず、ムキになって反論し、「似合うよ、キョーコちゃん」と言ってくれるだろうと思って一日ワクワクしていたキョーコさんは、半分涙目です。


「いや・・・あのね、キョーコちゃん・・・それは・・・・その、お仕事をするための洋服でね、ドレスじゃないんだよ。」
「もうもう、敦賀さんなんて嫌いですっ。」


ぶぅ、と頬を膨らまし、ずっと一日楽しい気分でいたのが台無し!とばかりに、キョーコさんはメイドのお洋服を脱ぐと、ベッドにもぐりこんでしまいました。遠くからぐすぐす泣いている声が聞こえます。


一度拗ねてしまうと一晩は出てきません。蓮様は仕方なく着替え、テーブルに用意されている蓮様の夕飯を口にしました。蓮様が大好きなスープを飲むと、いつも通りそれは美味しい味がしました。


夕飯を綺麗に食べて片付けたのち、蓮様はキョーコさんの枕元に立ちました。

「キョーコちゃん。」
「敦賀さんなんて嫌いです。」
「スープ美味しかったよ。」
「・・・・・・・・。」
「それを着て、オレが喜ぶと思って、一日おうちを綺麗にしてオレが好きなスープを作ってくれたんだろう?」
「ぐすっ・・・・。」

蓮様がベッドサイドに腰掛けて、キョーコさんの頭に手を置くと、キョーコさんはほんのちょっぴりだけ毛布から顔を出しました。

「でもね、例え奥さんであっても、オレは君をメイドだとは思っていないんだけどな。」
「・・・・・・・・。」
「オレの大事な奥さんで、恋人で、家族だからね。家事をしてくれるのはとても嬉しいけど、メイドだとかは思っていない。」


キョーコさんは顔だけ毛布から出すと、拗ねるのをやめました。そして、そっと目蓋の涙を拭ってくれた蓮様に、「お洋服、似合わなかったですか?」と、聞きました。


「・・・似合うとか似合わないとか・・・見てすぐに思わなかったから・・・。でももし君がそれを着て城で働いていたとしたら、手を出すかもね?だから服装は関係ないんだよ。中身が重要。・・・・・もしかして魔法の勉強はもうやめて、お城のメイドにでもなりたいの?」
「・・・・あの・・・その・・・制服って・・・着たことが無かったので、着てみたくて・・・・・・。」
「え????」
「だって魔法学校も行った事がないし、いつも自分が作った服しか着たことがなかったんですもの!みんなが着ている服、私も着てみたかったんです。」
「あ・・・あぁ・・・・そうなんだ・・・?」
「だから、数日だけお借りしてみたんです。」
「制服、がいいなら・・・別にメイドの制服じゃなくたっていいだろう?」
「魔法学校のお洋服なんて・・・私魔法学校のお友達なんていませんし、持っていません。」
「そんなのが欲しいの?」
「欲しいですっ!!!!!」

ベッドからがばっと身体を起こしたキョーコさん。
蓮様はくすくす笑いました。

「オレの・・・昔のならあるけど・・・・12歳ぐらいの頃のなら君でもちょうどいいんじゃないかな?」
「・・・・・・(きらりん)・・・・・・・・♪」
「くすくすくす・・・今度倖一さんに言っておくよ。衣装部屋に多分眠ってる。そんなのでいいならきっと幾らでもオレの部屋にあるよ。夏服冬服、卒業式の服、色んなのがある。」
「うふふふふ♪明日は敦賀さんのお部屋に行って楽しみます♪」
「あ・・・・・・・・・。」
「なんです???」
「いや・・・・(オレの小さい頃の服を見つけたら・・・きっとオレを小さくして「コーンの着せ替えごっこ」しましょう♪って持って帰ってくるんだろうな・・・と思って・・・・。)」
「じゃあ、メイドさんのお洋服は洗ったら、お返しして、今度は敦賀さんのお洋服沢山持って帰ってきます☆☆」
「家中服だらけにしないでね?」
「大丈夫です!毎週取り替えっこして楽しみますから!」
「はは・・・・・。」


しばらくの間、キョーコさんが・・・所謂衣装ごっこを楽しんだのを、蓮様は半分苦笑いでいました。魔法学校の制服を着ては「魔法が上手になる気がする」と言い、シスターの衣装を着ては「神様が近くなった気がします♪」と言います。

そのうち「いつ次の新しいキョーコちゃんブームがやってくるんだろう」と思いながら、キョーコさんのステキ衣装ごっこで毎日変化する「役柄」をいじくっては、楽しんでいる蓮様なのでした。




おしまい☆






2007.08.06


今日の話の中で出てきた魔法少女xめいどさーん。
忘れない内に。あっという間にできましたよ・・・(苦笑)。
今更なんですが・・・めいどさんを日本語にすると家政婦なんじゃ(笑)。
否!制服が大事。そう、制服がね・・・・・・・。