魔法の国のキョーコさん@花のワルツ 6.5





――ぽん☆



「わぁっ!!!」

いきなり目の前に現れたキョーコさんに、双子達の横で半分うつらうつら・・・と眠りかけていた倖一さんは一気に目が覚めました。

「倖一さん♪」
「キョーコちゃん、どうしたの?それも魔法?」
「いえっ・・・妖精さんのお酒をもらったんです。今から私は敦賀さんと一緒にかぼちゃの馬車に乗って帰りますね!!あ、コレ・・・楓様と葵様にクリスマスプレゼントです。」

キョーコさんは、持ってきていた荷物から、ヒツジの毛で編んだおそろいのマフラーを、倖一さんに手渡しました。

「コレは倖一さんに♪」


倖一さんにも、双子と同じ色の、少し大きなマフラーを手渡しました。

「貴重な毛糸を沢山分けてもらったお礼です。」
「わ、私にも!!!ありがとう、キョーコちゃん!!!蓮様にはガウン、編めましたか?」
「秘密の部屋を作って一生懸命編んだんですっ。今朝、とっても喜んでくださいました☆あと一分しかない〜〜〜〜〜!!!またあとで来ますねっ♪」




――あと、ちょっとしかない、あと、ちょっと〜〜〜〜〜!!!


――ぽーん・・・ぽーん・・・・


12時を知らせる鐘が、ゆっくりと鳴りはじめました。



――ぽん☆




キョーコさんは、玄関前の階段まで来ると、しん・・・と静まり返った玄関で、今か今かと蓮様を待ちわびます。

キョーコさんの胸はどきどきで高鳴り、きっと蓮様なら気配を探して来てくれる、そう思って疑わずに待っていました。




「キョーコちゃん・・・見つけた。」
「敦賀さん☆」


しっかり表れた蓮様にほっとして、思わず蓮様の身体に抱きついてしまったキョーコさん。「ち、違う〜〜〜ガラスの靴ごっこ〜〜〜〜」と言って離れて、階段を降り始めました。


「キョーコちゃん、駆け下りたらダメだよ・・・怪我するからっ・・・。」



おかまいなしに、ぱたぱた、と降り、階段の真ん中あたりで急に止まると、手摺につかまりながら、キョーコさんはガラスの靴を一つ脱ぎました。そして追ってきた蓮様に手渡しました。


「わたし・・・敦賀さんと、コレをやりたかったんです。他の人じゃ、絶対にダメなんです。」
「うん・・・・。」


蓮様は愛しそうにキョーコさんをしっかり抱きしめると、「靴が片方じゃ足の裏を切って怪我するよ」、そう言って、蓮様はキョーコさんを右腕に乗せました。


そして、かぽっとキョーコさんのおみ足にガラスの靴を嵌め直して、「貴女が探していた私の姫ですね?」とウィンクをしながら蓮様は言いました。


「はいっ☆」





階段を降り始めた蓮様の腕の上で、両足だけ片腕で支えられて、ふわふわ、ふわふわ。宙に浮いたまま、キョーコさんはカボチャの入った宝石箱を開けました。とてもとても可愛いミニカボチャが一つ。



――ポーン・・・ポーン・・・・・・・


12時を告げる音が、最後の一つを刻みました。



「敦賀さん、カボチャですっ♪」
「かしてごらん。」


蓮様は魔法によって自動で開いた入り口のドアを出ます。
そして、城外に出て、カボチャを雪の上に置くと、呪文を唱えました。


――ぽん!!


「さ、お姫様。コレでいいのかな?」


大きなカボチャの馬車が目の前にあります。どこからともなく、光に包まれた長い角のある馬のような動物が二頭、その大きなカボチャの馬車の先頭についています。そしてまたどこからともなく、光の粒が集まり、まぶしくて見えないぐらい、カボチャのドアの中は綺麗な光で包まれています。


「オレの魔法獣も付けてみた。何となくユニコーンみたいでいいだろう?中の光はね、ウチの玄関にいるランプの妖精を帰るからって・・・・ついでに連れて来たよ。一緒に帰るって言って喜んでる。中に入ってごらん?いるから。」


「可愛いっ!!!!」


夢のカボチャの馬車を、そっと触り、そして、「よろしくね?」と言いながら、魔法馬二頭にすりすりすり・・・と頬を寄せたキョーコさん。魔法馬もキョーコさんに顔をすり寄せます。


「ランプの妖精さん、こんばんは☆おうちまで一緒に帰りましょう!」

『キョーコちゃん、メリークリスマス!今日はご馳走をありがとう!!』

嬉しそうにぴかぴかに光り輝くランプの妖精さんたちも、妖精のお酒に寄って真っ赤です。


「敦賀さん、良かったら・・・楓様と葵様、一緒に連れて行ってあげたいの。きっと、喜んでくれると思うんです。魔法で一気にベッドでもいいとおもうんですけど・・・・。」

「・・・・キョーコちゃんがいいのならいいよ?」

「もちろん!!!」

「じゃあ、今倖一さんの所へ言って二人を連れてくるね。」

「私行って来ます☆今なら、望んだところに飛んでいけますから♪」


そう言って、キョーコさんは倖一さんと楓さん、葵さんを連れて帰ってきました。その後、ふわりと浮いた馬車に、もう葵さんも楓さんも、大はしゃぎです。


「「蓮兄様すごいっ!!!」」


キョーコさんもそうでしたが、葵さんと楓さんがとても嬉しそうなので、蓮様も終始笑顔を絶やしませんでした。


「「「あぁぁぁぁ!!!!」」」


楓さん葵さん、キョーコさんが同時に声を発した先には、目の前を大きなソリに乗ったサンタクロースが、元来た城の方へ向かい、忙しそうに空を走り去っています。


「「本当にいるんだね、倖一っ!!!」」
「敦賀さん、本当にいるんですねっ!!!」

隣をふり返りまったく同じ感想を言った三人は、見えなくなるまでその姿を追いました。


「きっと、あとで楓様と葵様の所にも参りますよ。帰ってしっかりおやすみしましょうね。」

「「会いたいなっ!!!お友達になれないかな?」」

「サンタクロースというのはベッドで眠った、よい子の所に来るものなんです。きっとお隣の国の小さな王子様たちの所に行くんですよ。」

「分かったよ、じゃあ帰ったらもう一度ちゃんと眠るから、もし倖一が会ったら、言っておいてね。いつかお友達になってくださいって。」

「くすくす・・・わかりました。私が起きていたらそう伝えましょう。」


目の前でほほえましい会話をしているな、と思った蓮様の横で、キョーコさんの目も、うずうず、きらきら・・・としていて、ついに蓮様に問いかけました。


「私もお会いしたいです・・・・サンタさん・・・・。今日は世界で一番お忙しい郵便屋さんですから無理かしら?・・・・お友達になりたいですっ。やっぱり私も・・・眠らないとダメですか?」

「・・・・君が眠っている間に、妖精さん達もプレゼントをくれただろう?もちろん眠らないとダメだよ?」

「そうですねっ。でも、今日はこうしてカボチャの馬車に乗れて、ヒツジさんにも会えましたし、敦賀さんとも踊れて・・・・本当に楽しかったので、嬉しくて思い出してわくわくして・・・眠れなかったらどうしましょう?」

「その時はね、とっておきの魔法があるよ、キョーコちゃん。「ヒツジがいっぴき、ヒツジがにひき、ヒツジがさんびき・・・・」ってゆっくりとね、ヒツジを思い浮かべながら唱える魔法だよ。眠るまでに何匹数えられるかな?すごくよく眠れる。ヒツジはね、いい夢を運んでくれる神様だって昔から言われているんだよ?」

「ヒツジさんの魔法があるのですか?!ふわふわ〜ないい夢が見られそうです♪ヒツジがいっぴき、ヒツジがにひき・・・ですねっ!すごく簡単な魔法ですっ。」




その日帰宅したベッドの中で、ヒツジを何匹数えたのかは分かりませんが、翌朝枕元に置いてあったプレゼントの山に目を輝かせた、葵さんと楓さんと、そして、キョーコさんがおりました。


カボチャの馬車とガラスの靴は、蓮様がそのままミニチュアにして、窓際の妖精さんのクリスマスプレゼントと一緒に飾られていました。


「おはよう、キョーコちゃん、今日もいい朝だね。」
「敦賀さん、いい朝ですね☆」


頬に“おはよう”のキスをしたキョーコさんを、蓮様はやさしく受けとめて、キョーコさんをベッドに引き戻し、抱きしめました。


「オレは毎朝、枕元にプレゼントがあるんだけどね。」

「・・・・・・・・?」

「君だよ?」

「なぁっ・・・・!!!!朝からっ・・・(くらくら)////。」

「以前君に聞かれただろう?「何か欲しいものはありませんか?」って。でも・・・君以上に欲しいものは無いんだもん。綺麗な君の魔法は・・・12時を回っても解けない。」

「・・・・敦賀さんの美しさは尚更なんですっ・・・。」

「くすくす・・・・オレは男だよ?じゃあ・・・外はずっと雪が降っているし、今日は一日ベッドの上で本でも読んで二人でのんびりしよう。ここはどんなモノにも邪魔されない。・・・・大好きだよ、キョーコちゃん。」

「・・・大好きです、敦賀さん・・・・。」

「クリスマスプレント、もう一つ欲しいな。今日一日君の腕の中にいさせて・・・姫・・・。」


にっこり、と笑った蓮様に勝てるモノも、この世界にはありません。12時を回ろうとも、ずっと心の美しいキョーコさんと、心優しい蓮様の二人は、昨日も、今日も、明日も、またその次の日も、ずっとずっと楽しく過ごしました☆☆☆











おしまい☆









2007.05.25



1月近くかけてのお付き合いありがとうございました〜〜〜。
全てが趣味に走れて非常に楽しかったです☆
短く終わる予定が、いつの間にか長編になってしまいました(笑)。



ちなみに書こうか迷った隣の国の朝はきっと、「キョーコ様にふられましたわね?お兄様。」と妹に突っ込まれ、横で精霊のミュスカさんに、にやり、と笑われ、W攻撃に無言のアンニュイ兄がいる事でしょう。