魔法の国のキョーコさん@花のワルツ 6




「あれ?もう、戻ったんですね?」
『レイノも戻ったぞ、蓮様。』
「おいしい妖精の木の実は食べられましたか?」
『おう。ウソはつかなかったぞ、アイツ。ついでに木を沢山増やすと約束してくれたから、許してやることにしたのだ。』
「それは良かったですね!」
『まぁコレを飲め。妖精の祝いの酒だ。今日はコレを飲んで貰うために来たんだからな。』
「妖精さんのお酒????」
『特別な酒だ。人間に振舞った事はこの数百年ないな。お前の持つその石を渡した王ぐらいなものだろう。』


そう言って木こりの斧の妖精さんはキョーコさんの足の辺りを指差してウィンクをして、キョーコさんの手の中に、妖精さんと同じぐらいの高さの、人間には小ぶりな瓶を魔法で取り出しました。蓮様は、木こりの斧の妖精の言った事が気になったようです。「どうして彼女が持っている事を知っている?」とだけ言いました。


『知らない妖精なんかいるもんか。小さい頃からうるさいくらいその石の歴史は聞かされるし、今魔法の国にあることも知ってる。それにそれは妖精と話ができる女の子の元にあって、毎日妖精の仲間達と一緒にそれに話しかけていると仲間の妖精が教えてくれた。そのドレスの辺りからすごく強い魔力を感じるし、キョーコちゃん以外に妖精と話せる女の子がいるとも思えないね!ま、キョーコちゃんならきっと任せて大丈夫だろう。』
「・・・そうだね。」

『妖精の国の王から預かってきたんだ。人間用の瓶に詰めるとかなりの量がいるからな!オレたち妖精からのクリスマスプレゼントだ!まぁ何でもいいから飲みやがれ!!!』


蓮様と木こりの斧の妖精が話をしている間、キョーコさんは不思議な形をした綺麗な小瓶を逆さにしたり光に晒したりして、眺めています。

「あぁっ!!!妖精の王様の印!!!!」

キョーコさんはその瓶の底に刻まれた変わった絵を見ると、目を輝かせました。

『よく知っているな。』
「妖精さんの中にはこの印をつけた妖精さんがいます。妖精の国の偉い人なんだそうです。その妖精さんに聞きました。コレは王様からしかもらえない印なのだと。」
『なるほど!お前は妖精の国の大臣にも会っているんだな!王自ら持って行けと言う筈だ。それにしても今日は美味しい木の実も沢山あって楽しいな!』
「それは良かったです☆ウチにもまた食べにきてください!クルミも妖精さん用に小さくしてあげますから♪」
『ク・・・クルミはしばらくは見たくねぇな・・・・。じゃあ、渡したぞ。またな、キョーコちゃん!!いいクリスマスを!!!』
「うふふ・・・ありがとうございます。」


木こりの斧の妖精は楽しそうに飲んで、また妖精の輪の中に戻っていきました。キョーコさんはその姿を見送ると、貰った妖精さんの祝福の酒の小瓶を開けて、ほんの数滴、手に注いで飲んでみました。


「・・・甘くておいしいです!なんだか体が軽くなったみたい!」
「キョーコちゃん・・・・?」


ふわふわふわ・・・とキョーコさんは浮いていました。


「アレ?敦賀さん、私、なんだか空を飛んでいませんか?」
「飛んでいるんじゃないかな?浮いてる。」


風船のようにふわふわと浮いているキョーコさんの足を抱えて腕の中に入れると、キョーコさんの体の重みは殆どしません。


「妖精さんのお酒ってすごいですねっ☆うふふ、空を飛ぶってとっても楽しいですっ♪私も妖精さんになったみたいです!!!」
「キョーコちゃん・・・ここはまだおうちではないんだけどね?まさか妖精のお酒に・・・酔っているのかな?」
「あぁっ・・・つ、敦賀さん、もう、夜中も11時40分を回ってます!!!階段探して、私「ガラスの靴を片方忘れるごっこ」がしたいですっ☆」
「・・・・・え・・・・・?(どんな「ごっこ」なんだそれは・・・)。」
「敦賀さんが私を追いかけて来てくれて、私は逃げるんですっ!!それで片方靴を忘れますから、拾って探してくれるごっこです!!!・・・そうだ☆レオ様からクリスマスプレゼントに綺麗なかぼちゃを貰ったんです!!!敦賀さんがかぼちゃの馬車を作ってくれるだろうって!!だからそれを作って貰って一緒に乗って帰ります♪敦賀さんがかぼちゃの馬車を作ってくれるのが今年のクリスマスプレゼントにして下さいっ!!!」
「そんなのでいいの?」
「そんなのって!!!私の憧れだったんですっ☆綺麗なドレスを着て、ガラスの靴を履いて、かぼちゃの馬車〜〜〜〜♪」


きらきらきら・・・・と目を輝かせたキョーコさんは、ふわふわ浮きながら蓮様の腕の中で手を組み、メルヘンの国入り口から当分帰ってくる様子もありません。一緒に乗って帰るなら探す必要ないじゃないか、と蓮様は思いましたが、口にはしませんでした。

蓮様の腕の中で風船のようにふわふわ浮いているキョーコさんに、他の姫様たちも王子様たちもビックリしています。父王もそれに気づくと、帰るために近づいてきました。


「キョーコ!!お前その魔法いいな!!オレにも教えるんだ!」
「妖精さんのお酒を貰って飲んだら、浮いているみたいです☆」
「オレもそれが飲みたいな。美味かったか?」
「それはもう、甘くてとてもとても美味しかったです!!」
「なにっ!!!オレは生きているうちにそれも飲んでみたいぞ!!!うーん・・・まずは妖精と話ができるようにならねばな・・・・そうしたら妖精の国の王とも会ってみたいものだ。」
「そうですねっ☆このお酒のお礼をしなきゃです♪」


ふわふわ浮いているキョーコさんは、ぴきん☆と固まって、蓮様につかまります。
目の前に帰ってきたレイノさんが立っていました。

「なんだキョーコ、もう帰るのか?宴会はまだまだ続くぞ。サンタクロースに会う前に帰るなど、お前にしては早すぎるだろう。その前に遠慮なく一度オレと踊って帰れ。」
「レイノ様!」
「やぁ・・・。今日は招待してくれて本当にどうもありがとう。」
「楽しんでもらえたかな。」
「・・・十分ね。」
「そうだ・・・伝言をキョーコ姫から聞いたかな。ヒツジに付いている・・・祝福の精霊が貴殿にぜひ会いたいと言っていたぞ。そのうち行くだろうが・・・あいつにせいぜい口説かれ負けないように頑張るんだな。」
「・・・・精霊殿ね・・・伝言どうもありがとう・・・。さあキョーコちゃん、そろそろお暇しようか。」
「つ、敦賀さんっ!!!魂を抜かれそうなぐらい美しい方です。きっとお会いになったらっ・・・いえとっても素敵な方なので、会ってはほしいんですけどっ・・・。」
「キョーコ、夫が口説かれ負けた時は、オレに言えばいい。浮気草などいくらでもくれてやるぞ。」
「い、いりません!!!!」
「・・・(キョーコだって・・・?(怒))・・・。」
「さぁ、キョーコ・・・一度踊ろう。」
「でもあの・・・わたし、蓮と踊れればそれでいいんです。もう踊ったので満足をしました。」


蓮様が黙ってしまったので、ふわふわ浮いているキョーコさんは、蓮様に聞こうと思って見渡すと、時計が目に入ってきました。


「そうだっ!!!あぁぁっ、もう、11時55分!!!レイノ様、また今度踊りましょう!!!!蓮、はやくはやくっ!!!!」
「・・・・・・・今度?(時間がなんだというのだ・・・?)」
「・・・・・・・・・わかったよ・・・くすくす、では帰ろうか。レイノ殿、今日は世話になった。次回はわが王国にも踊りに来るといい。その時は歓迎しよう。さぁ、キョーコちゃん・・・もう好きに飛んで行っていいよ。追いかけるから。」
「・・・わーい☆」


ふわふわふわ〜〜〜〜と人型のまま空を飛んでいるキョーコさんに、レイノさんは「お前その姿のまま飛べるのか」ギョッとして、目を剥きました。


「妖精さんのお酒の力ですっ☆では、おやすみなさい、レイノ王子。またお会いしましょう。ヒツジさん飼ったら、育て方を教えてくださいね?あと幸せ鳥沢山ツガイにすることも忘れずに〜〜〜〜。あ〜〜〜〜〜もう、時間あと3分〜〜〜〜〜〜!!!!」


ふわふわ飛びながらキョーコさんはレイノさんの前で一度降りて、スカートを持ち上げて挨拶すると、気付くとキョーコさんは部屋にはいませんでした。



「瞬間移動までできるのか・・・・妖精の酒は・・・・。」
「・・・・・妖精の酒とはなんて便利な酒か・・・・。」


レイノ王子と、父王がまったく同じ事を口にした事を、キョーコさんは知りません。
そしてふわふわと浮いたキョーコさんを探しに、蓮様は先に大広間をあとにしました。











2007.05.21