魔法の国のキョーコさん@花のワルツ 5.5 



沢山踊って、ようやく一休みをする事にしたキョーコさんと蓮様。元いたソファに戻り、キョーコさんは、楽しさの反面少しだけ緊張していたのか、ふぅ、とひとつ安堵の息を吐きました。


「疲れた?」
「いえ、緊張をしました。」
「沢山人がいるからね。オレはずっと君と踊りたかったんだよ?君とだけ踊って帰る予定だったんだ。」
「えーっ!!!それを最初から聞かせて下さればっ!!!私だって敦賀さんとだけ踊れればよかったんですからっ!!!!そしたら大人しくずっと待っていたのに・・・・。」
「もしかして・・・心配した?帰ってこないんじゃって?」
「・・・な、なんでそんなに嬉しそうにっ!!!心配したんですっ。あんなに綺麗な姫様達と踊るんですものっ・・・そ、それにっ・・・昔の敦賀さんの事、私・・・全然知らなくて・・・悔しいんですもの。」
「知らなくていいよ。社交界での事はあくまで社交辞令だもん。」


姫らしからず、ぶぅ、と頬を膨らませたキョーコさんに、蓮様は、それは周りが見たら溶けそうなぐらいに優しい目で、キョーコさんを見つめます。キョーコさんはそんな蓮様の手を取り、ぎゅっと握りました。


「オレも浮気はしてないよ?ねぇ、キョーコちゃん。レイノ王子に、コレ触られただろ?石から彼の感じがする。」


そう言って、お守りのある辺りを蓮様はドレスの上から手で触れました。


「・・・・・はわっ・・・・ゴメンなさい・・・・。」
「一体どんな事になっていたんだか・・・あとで石の記憶に聞こうかな?だからね、君がもしいつか浮気をしたらすぐにバレる。」
「し、しないって分かっているでしょう?私は敦賀さんがっ・・・///。」
「くすくす・・・君はオレが好きだろう?でも君は優しいからね・・・何があったか大体想像がつくけれど。まあ・・・レイノ王子を嫌がっている気配があるから許してあげよう。」
「やっ・・・なんだか覗き見されているみたいでイヤですっ。」
「君の小さいときから今までも、全部コレの中の記憶に収まっているよ?」
「えーーーーー!!!!恥ずかしいですから見ないで下さいね?ね?ね?魔法いっぱい失敗しているトコとかっ。泉で泳いでいる夢を見てベッドから転げ落ちたトコとかっ・・・」
「ははっ・・・そうなの?それは見たいな・・・・。」
「敦賀さんばっかり私の事全部見られてずるいです!!!私は敦賀さんの昔の事は全然知らないのにっ。」


ウソをつけないキョーコさんは、蓮様に見られる前にすぐに口にしてしまいます。
蓮様が楽しそうに笑うと、キョーコさんはまた、ぶぅ、と頬を膨らませました。


「もしオレが君にそこにある浮気草の汁を塗ったら・・・君はオレの事をすっかり忘れてしまうんだろうな。けど・・・でもまた、一から口説きなおせる自信はあるよ?」
「私以外の人と結婚したくなったら、塗ってください。でもそんなのやですっ!!!!」
「じゃあ君が他の男と結婚したくなったら塗ればいいんだよ?こうして社交界で色々な男と出会う機会はたくさんある。」
「塗りません!!!いやです・・・そんなの・・・。そんな人の心を操る迷惑なお花なんて、全て燃やしてしまうに限ります!!!」

キョーコさんが珍しく蓮様に怒りましたが、言葉で確かめ見つめ合う二人は、傍から見れば、周りに鮮やかな紅いハートのバリアでも張ってあるようです。とても美しいキョーコさんに蓮様がにこやかに笑いかけ、ソファでも互いの手を取り合い見つめあって、互いが互いをとても大事にしている風景は、二人にとってはいつもの事でも、他の姫たちは今まで見た事がない風景でした。


「でもね、使い方さえ誤らなければ便利なんだ。動物には迷惑かもしれないけどね、この世に幸せ鳥は、かつて5羽しか居なかったから、どうしてもツガイになれなかった鳥には・・・片方がいなくなったら・・・この花を使っていたんだよ。ウチの王宮の裏庭の、厳重に管理された場所にもこの花はある。ダイアナの花もね。君がレイノ王子に塗られたのもそれで治した。」
「・・・・つ、敦賀さんのばかっ。どうして言って下さらなかったんですかっ。私ばっかり何でも忘れて・・・・。」
「・・・オレに恋を求める君はとっても可愛かったよ?また幸せの花だけは塗ってあげるね?」
「・・・もうっ・・・・////////。」

キョーコさんは、今度は火を吹きそうなぐらいに真っ赤になって、顔を押さえます。

「あの・・・その・・・・。なんでこんなに妖精さんが多いんでしょうねっ?・・・ね?」
「妖精の木の実全部をさらに大きくしておいたんだよ。君を探してくれるお礼にね。きっと皆それに気づいたんだろう?」
「そーなんですかっ(T△T)・・・ごめんなさいっ・・・・。」


真っ赤になったり、青くなったり、キョーコさんはとても忙しい様子です。
そのとき、

『キョーコちゃん!』


真っ赤な顔をした木こりの斧の妖精がそこにいて、キョーコさんの肩に乗りました。








2007.05.21