魔法の国のキョーコさん@花のワルツ 5




広間では、単に夫婦でらぶらぶし始めたにしか見えない蓮様とキョーコさんに、陰ながら視線が集まっていました。皆様、蓮様がキョーコさんを溺愛している事は知っていましたが、その場面を目の当たりにすると、ぴきん、と固まります。

キョーコさんは蓮様の腕の中で身体に抱きつき、蓮様はそんなキョーコさんを大事そうに抱えて、抱きしめたり、背中を撫でたり、頬を撫でたりしています。ソファの上で二人は、(他人からしたらもうどうしようもないぐらいに)大変甘く見つめ合っています。

それを察したレオさんは、二人に近寄り、話しかけます。

「おい蓮。二人の世界を邪魔して悪いが・・・。ここでキスして押し倒すなんて事はしないでくれ。」
「・・・・・レオ。」
「レオ様☆。」
「夫婦、今でも仲がいいのは分かるが・・・姫たちが・・・気が気じゃないらしい。それならせめて二人で踊ったらどうだ?」
「・・・・キョーコちゃん、どうする?踊りたい?」
「蓮・・・・。」

うーん、とキョーコさんは一瞬悩み、ふるふるふる、と首を振りました。

「わ、私・・・踊るの苦手でっ・・・。」
「おや、キョーコ姫。その文句は、他の男の誘いを断る為の文句ではなかったのですか?蓮とならいいではないですか。」
「・・・・だって・・・沢山練習しましたけれど・・・こうして本番は数回しか踊った事が無くて・・・慣れないんですもの。」
「大丈夫ですよ、信じて蓮の手を取っていればいい。」
「そうですか・・・?蓮・・・どうしましょう。」
「では姫・・・私と踊っていただけませんか?」

蓮様がにっこりと笑ったので、キョーコさんもつられて笑顔になりました。
抱きかかえたまま中央に行き、降ろすと、蓮様は一つだけ魔法を唱えました。


――ぽん☆


「君の好きなガラスの靴に変えてあげたよ?」
「わぁ☆」


履いていた靴が、キラキラぴかぴかの透明なガラスの靴に変わり、カツン、カツンと、綺麗な床を歩くたびに綺麗な音がしました。

「コレ・・・履いていて・・・かかと、割れたりしませんか・・・?」
「くすくす・・・大丈夫、オレが作った魔法の靴だからね。踊りも上手に踊れるよ?」


優雅なワルツが流れて、くるくるくるくるとキョーコさんは上手に回ります。



『『『『『『キョーコちゃん!!!一緒に踊ろう!!!!』』』』』』


その周りを、陽気な妖精さんたちが囲み、真っ赤な顔をして、くるくる回ります。途中で目を回して、ぽとり、と床に落ちて、それでも愉快そうに床で転げまわっている妖精さん達は、皆とても楽しそうです。


そしてしばらくすると、さらに踊る妖精さんが増えました。周りにいる蓮様とキョーコさん以外には、その沢山の妖精さんは見えていないので、人間がくるくる踊る間に、妖精にぽこぽこぶつかっています。妖精さんたちはそれもまた楽しそうに、人間とぶつかっては床に落ち、互いに笑い転げて、そしてまた、手を取り合って踊ります。


「蓮・・・妖精さん踏まないようにして下さいね?くすくす・・・楽しいですねっ☆」
「よかったね。」
「ガラスの靴のおかげで、踊りも上手に踊れますし☆」

キョーコさんは蓮様と一緒に踊れて、とてもとても嬉しそうで、ご機嫌になりました。蓮様と一緒にとても上手に踊るキョーコさんの靴は、単なるガラスの靴です。蓮様がかけたおまじないは、キョーコさんに自信をつけてあげるためだけに言ったに過ぎません。


大好きなガラスの靴を履いたキョーコさんは、蓮様と一緒にとても優雅に動き回りました。蓮様がとてもとても優しい笑顔で踊っているのを見て、また、周りの姫は、ぴきん☆と固まります。レオさんはまた、「微笑の仮面を被っていない蓮なんて社交界では見られなかったよな」と言って、苦笑いを浮かべました。






もはやどこまで行くのか見当も付かず(笑)、まだ続きます☆




2007.05.21