魔法の国のキョーコさん@花のワルツ 2



「敦賀さん、なんだか、落ち着きませんっ・・・。」
「綺麗にしてもらったんだから、いいじゃないか。」
「だって・・・・。」


真白い何重にも重なったシルクのレースの一片を、薄い桜貝色に綺麗に彩られた指先がつまむと、首もとの沢山の宝石がぶつかり合って音を立てます。


「大変お綺麗ですわ。普段からお肌を綺麗にされていらっしゃるからお化粧のノリもいいですし。」
「蓮様もこんなにお可愛らしいのでは、今日は大変ですわね。」
「キョーコちゃん、可愛いっ!!!」

倖一さんも、目を細めてキョーコさんを褒めちぎります。

用意する中を、ばたばたと駆け回る足音が近づき、


「「倖一〜〜〜〜〜〜。」」

倖一さんを見つけて足に抱きつく小さな男の子を、倖一さんは右腕で抱きとめました。そして、あとから追いかけてくる小さな女の子が一人。さらにそのあとを追いかけてくる、うるさい宰相が一人。

「楓様っ。走られてはいけないと何度申し上げているか・・・・ふぅ、ふぅ・・・転びますよ。葵様っ・・・止めて差し上げてと何度申し上げているかっ・・・・ふぅ・・・。」


「「お兄様〜〜〜〜〜お久しぶりですっ。」」


楓王子と葵王女の、小さな双子の弟と妹が、蓮様に抱きつきます。


「久しぶりだね、二人とも。いい子にしているかな?」
「「もちろんですっ。」」
「倖一さんの言う事を良く守って。今日もずっと付いていて貰うからね。」
「「はいっ。」」

蓮様に元気良くお返事したのを見た宰相は、「わたくしめの言う事も聞くように、蓮様からもよく言ってやってください。」と言って、ようやく収まった息切れに、「歳にはかないませんな、はあ」、と一つため息をつきました。

「はは、そうだね。宰相の言う事もしっかりお聞き。お城の中は走ったらダメだよ?もし転んで頭を打ったら、一緒に遊べなくなってしまうだろう?」
「「はーい。」」


子供ながらおめかししたドレスをちょい、とつまんで、ご挨拶をした葵王女は、キョーコさんにも、ちょい、とドレスを摘まんで「お姉さま、お久しぶりです。」と、ご挨拶をしました。キョーコさんも同じ仕草をして挨拶をして、楓さんの頭を撫でてあげます。

「お姉さま、とっても綺麗☆」
「そうかしら?ありがとう。」
「葵もお姉さまみたいになって、蓮兄様みたいな王子様とけっこんするの!楓は蓮お兄様みたいになれるかしら?楓は、お姉さまみたいな姫様と結婚して欲しいのっ。」
「ふふ・・・葵様は、可愛いちいさなウエディングプランナーさんなのね。」

キョーコさんは、蓮様を見上げて、そっと笑いかけます。蓮様も、もう一度楓さんと葵さんを抱きしめて、そして、「じゃあ、行こうか。」と言って、部屋を出るように促しました。

「王に挨拶に行こう。」
「はいっ。」


出かける準備が整った者が全員大広間に集まり、クリスマスの挨拶を交わしています。蓮様とキョーコさん、楓さんと葵さんが大広間に入ると、王は駆け寄った葵さんと楓さんを抱きしめて、「メリークリスマス!」と言いました。

「お久しぶりですね。」と蓮様。「お元気そうで何よりです。」とキョーコさんが言うと、「久しぶりだな。お前たちを待っていた。さっさと出かけようじゃないか!」と言って、椅子から立ち上がりました。

「父王。今日は、二羽の幸せ鳥をかの国にクリスマスプレゼントにもって行く予定です。」
「おお、それはいい。国をあげての歓迎だからな。国鳥なら、礼を欠くことはあるまい。キョーコ、もっともっとあの鳥を増やしてくれ。あの鳥はお前に全てを任せるからな。」
「はいっ☆」
「じゃあ、出かけよう。楓、葵。一瞬で着くから、互いにしっかり手を握って少し目を瞑っておいで。」
「「はーいっ。」」


楓さんと葵さんはしっかりと手を握り、蓮様はキョーコさんの身体を引き寄せます。



――ぽん!!!!


王の持つ強力な魔法で、十数人が、魔法の国の大広間から一気に、相手の国の城の前まで、移動しました。


「キョーコちゃん。」
「はい、何でしょう?」
「今日は君も敦賀家の一員だからね。オレのことは、名前で呼んで?」
「あ、あのっ・・・・じゃあ、れ・・・・蓮様・・・でいいですか・・・?」
「様はいらないよ。」
「れ、蓮・・・////。」
「そう、それでいい。それから、今日は特に、他の国。何があるか分からないからね。渡してあるお守りは、絶対に身から離してはいけないよ?」
「はいっ☆分かってます。」


お守りの袋を、太もものベルトに縫い付けたキョーコさんは、「ここにありますから。」と言いました。


「絶対に失くしたり、落とさないようにね。」
「はいっ。」


キョーコさんが蓮様に、にこり、と笑うと、手に持っていた幸せ鳥のツガイ、「ヘンゼルとグレーテル」は、「きゅ〜〜〜〜〜」と互いに高い声を上げて、その長い首を絡めます。


「もう、今日でお別れなのは寂しいけど、新しいところで幸せにね?」


「遠路、よくいらして下さった。歓迎する。中へ。」


気付くと、この国の王子のレイノさんと、沢山の召使たちが、入り口の前に出てきました。


「久しぶりだな、レイノ殿。随分大きくなったな。今日はよろしく頼む。」
「お久しぶりですね。父王。」

膝を折り、父王に挨拶をして、最大の敬意を払うと、

「そして・・・初めまして。私はレイノ。この国の王子の一人だ。」

と、蓮様にふっと不敵に笑って告げました。

「・・・・初めまして、そして、先日は妻へ素敵なプレゼントをありがとう。」


蓮様は、にこり、と笑みを浮かべ、二人は握手を交わします。

レイノさんはにやり、と笑い、「貴殿にも少し前に、プレゼントをしたのをおぼえていらっしゃるかな。」と言いました。

蓮様は答えず、隣に立っていたキョーコさんに、挨拶をするように、背中に腕を回しました。


「キョーコと申します。初めましてっ・・・・。あのっコレ・・・プレゼントのお礼とクリスマスプレゼントにっ・・・・私の育てた幸せ鳥のヘンゼルとグレーテルですっ。このお城もお菓子で出来ていますし、あの物語も貴国のお話ですし・・・大好きでっ・・・・。」

「貴国の国鳥・・・ありがたく頂戴しよう。・・・幸せ鳥のエッグサンドをまた食せる日が来るとはな。楽しみだ。」

「(・・・食べた事があるだと・・・?幸せ鳥のエッグサンドは彼女しか作れないのに・・・。)」
「レイノさんは幸せ鳥のエッグサンド食べた事があるんですねっ?美味しいですよね☆沢山ツガイを増やしたら、ぜひ作ってみてくださいっ。」


キョーコさんは、その幸せ鳥がはいっている鳥かごをレイノさんに渡します。レイノさんは、「ありがとう。」と言って、その鳥かごを受け取り、そして、「キョーコ。今日は楽しんで行ってくれ。後ほど踊ろう。」と言って、手を引くと、その甲に一つ口付けました。


「ひゃっ・・・ひゃあ・・・・///。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「蓮殿。ではまたあとで。自分の城だと思って寛いでいて欲しい。」
「気遣いは無用に願いたい。それと我が家のチビ姫と王子が貴殿の城を駆け回るかもしれないが・・・それも大目に見ていただけると幸いだ。」
「好きに駆け回るといい。欲しいものがあれば好きに持って行け。オレが許す。では後ほど。」


慣れない行為に、くらくらくら・・・と目を回しているキョーコさんの腰を支えると、蓮様はふぅ、と息を吐き、内心思いました。



やすやすと触れるな・・・・・・・・・(怒)。



けれども今日はダンスパーティ。そんな事は言ってはおられません。しかもキョーコさんは、蓮様の様子には気付いておらず、見えているお菓子で出来たお城に、もう目をウルウルと輝かせて、「触ってみたい・・・」と呟いています。


城について、実際に触ってみると、それはもちろん食べる事は出来ず、硬いそれに、キョーコさんは少しだけがっかりしたのか、サロンにつき、各々好きに寛ぐなか、ふかふかのソファの上で、「硬いです。」と、蓮様に残念そうに報告しました。


「それはそうだろう・・・(@まだ怒りMAX中)。」
「つ、敦賀さん・・・じゃないっ・・・蓮・・・?王子の妻がむやみやたらにおうちを触ったりしたら・・・はしたなかったですか・・・・?」
「いや・・・。そうじゃないよ。」


キョーコさんの口付けられた方の手をとって、同じ箇所に蓮様も口付け、キョーコさんの顎を指で引くと、そっと唇にも口付けました。その至近距離で、蓮様は囁きます。



「男に全く免疫が無いと言うのも・・・少しだけ困りものかな・・・。」
「こ、こんな所で・・・///。免疫は・・・れ、蓮だけで十分です・・・っ・・・(くらくらくら)。」



部屋の上の方に止まっていた監視鳥に気付いていた蓮様は、目を回すキョーコさんの腰を引いて抱き寄せて、さらにその鳥に向かってふっと笑みを浮かべます。



それに気付いておらず、二人の熱にストレートにあてられた倖一さんは、好きに見てもいいと許可がでた事に目を輝かせている楓さんと葵さんをつれて、城の中を一周してみる事にしました。







つづく☆


2007.04.21


幸せ鳥のイメージは、フラミンゴの小さい感じのイメージを浮かべています☆