魔法の国のキョーコさん@花のワルツ


とある冬の日。今日はクリスマスイブ。その日は朝から雪が降って、あいにくいつものように外に出かけられずにいました。せっかくのクリスマスを外で過ごせず、キョーコさんは外を眺めては「雪の妖精さんでも遊びに訪ねて来ないかしら?」と言って、窓の外をじーっと眺めています。


「キョーコちゃん・・・・明日のクリスマスの日は・・・・お隣の国へ遊びに行こうか。」


傍まで寄ってきた蓮様が言って、キョーコさんは目を輝かせました。


「ホントですかっ!」
「向こうの国の王からクリスマスのパーティの誘いが来てる。オレは最後まで断ったんだけどね・・・家族全員招待されて・・・・行かないわけにはいかなくなった。」

きらきらきら・・・・と、久しぶりに旅が出来る嬉しさにキョーコさんは目を輝かせ続けています。

「嬉しそうだね。」
「はいっ!だって、お隣の国へは行った事がありません。」
「・・・・・そんなに喜ばれると・・・・。いや、君のドレスはもう用意してあるから、あとは明日を待つのみだね。だけど・・・・その前に君に預かってきたものを渡さないと。」

そう言って、蓮様は、一つの置物--人形が沢山並んでいる--を差し出しました。
お菓子のおうちの中で、人形がくるくると踊っています。

「お菓子のおうち!!」
「ぜんまい、という機械仕掛けの人形というものらしい。このつまみをひねると、この人形達がくるくる回るんだ。・・・隣の国の誰かが君にクリスマスのプレゼントだとかで・・・。」
「すごーいっ!」

ぐるぐるつまみをひねると、キョーコさんが毎晩読むような、童話の中のドレスを着たお姫様と、王子様が、お菓子のおうちの中で手を取り合って踊っています。そして、その脇には一人だけ踊らず、斧を担いだ不思議な木こりの姿があります。

「コレ・・・壊れちゃっているのかしら?踊りません・・・敦賀さん・・・もしかしてもこのお人形だけ倖一さんが触っちゃったんですか・・・・倖一さんってば、新しく作る機械という機械、すぐ壊しちゃうんですものっ。」
「はは・・・それはね、踊らないんだ。その木こりの下に、くるみを置いてごらん。そして、このつまみを引くと、この木こりの斧でくるみを割ってくれる・・・・ほら、割れた。」

・・・パカリ、と綺麗に割れたくるみを取ってキョーコさんの手の上に置くと、キョーコさんは、嬉しそうに目を輝かせました。


「コレでくるみソース、あっという間に作れますね!!!ありがとうございます、敦賀さんっ!!」


もう一個、くるみを置いてつまみを引くと、パカリと、もう一個の胡桃が割れたのは良かったのですが、その人形の持っていた斧が取れてしまいました。


「う・・・・・うそ〜〜〜〜〜〜!!!壊しちゃった!!!!(涙)。」
「あぁ・・・まがい物だったのかな?確かに倖一さんにはくるみ割り人形だと聞いたんだけどな・・・。」


キョーコさんは涙ながらに斧をくっつけて、魔法をかけました。


「直って〜〜〜〜!!!!!」


――ぽん☆


「あんまり魔法をこういうことに使いたくないんだけど・・・・いいよね?」


・・・・すると、その人形は、ついに踊りだし、そして、喋りました。


「オレを元通りに治してくれてありがとう。オレは木こりの斧の妖精。」
「・・・・・・・・・・・・へ?」
「ずっと動けなかったんだ。なんだか変な魔法を掛けられたらしくてさ。本物らしく見せる為に・・・オレを捕まえて中に閉じ込められた。コレでようやくもとの世界に戻れるぜ・・・。」
「つっ・・・・敦賀さん〜〜〜〜〜????」
「初めまして、オレは敦賀蓮。この国を統べる者の一人だよ。この人形を作ったのは誰なんだい?そんな事をするなんて。」
「隣の国の王子。レイノという名前のね。俺を捕まえて・・・「お前、斧の妖精だな?」と言った。そして、何かの魔法でオレをこの中に閉じ込めたって訳さ。そうそう、言っていた。「最終的に「キョーコちゃん」と妖精たちに呼ばれている妖精が見える少女の元に着けば元通りになる」と。そして、「彼女に会ったら『この人形はオレから君へのプレゼント。クリスマスの日に会うのを楽しみにしている。』と伝えて」と言っていたよ。伝言がしたいなら伝書鳥を使えばいいんだ・・・・こんな回りくどい事をしないでさっ。で・・・君がキョーコちゃんだね?オレがしゃべれるようになったって事は・・・。」
「はい、そうですっ。」
「じゃあ、確かに伝言は伝えたからな。」
「でも・・・お隣の国の王子様のプレゼントなんて・・・なんででしょうね?コレが私への招待状代わりなんでしょうか?明日持って行った方がいいかしら?私招待状頂いてないですしっ。」
「・・・・・・・・・・(怒@大魔王)。」
「つ、敦賀さんっ・・・・?」

蓮様は大変不機嫌になって、普段殆ど怒らない蓮様が静かに怒っている事にビックリして、キョーコさんは半分ぐらい泣きそうです。木こりの斧の妖精など、ブルブル震えだしました。

「わ、私・・・な、なんかおかしな事を言いましたか・・・?(泣)」
「あぁ・・・いや・・・ごめん・・・。妖精を使うなんて、って思っただけだよ。全く・・・・。いいだろう。明日は、幸せ鳥のツガイを『コレ』のお礼に二羽連れて行こうか・・・・。君の大事にしている幸せ鳥のツガイの中で・・・どれか彼にプレゼントしてもいい夫婦の幸せ鳥を、貰っていいかな?」
「はいっ!もちろんですっ。こんな素敵な機械のお礼ですものっ!」
「・・・・そうだね・・・・(怒)。」
「・・・・・・・・・・・?(半泣)。」


蓮様は、直ったくるみ割り人形でもう一度くりみを割ると、妖精に渡し、

「使って悪いけれど・・・この実をその・・・レイノという彼に渡してくれないか。プレゼントと伝言はしっかり貰った、ありがとう、と伝えてくれるかな。今すぐ君を隣の国へ飛ばしてあげるからさ。」
「そいつは助かる!助けてくれたお礼にそんな伝言ぐらい、おやすいご用さ!次は捕まらないぜ。」
「明日はオレ達も隣の国へ行くんだ。その時また会えたら会おう。ココまで連れてこられてしまったおわびに、君たちの好きな妖精の森特製、妖精の木の木の実を・・・クリスマスのごちそうに持っていくよ。隣の国では採れないんだろう?沢山持っていくから友達でも呼んで来るといい。その代わり、集合場所は隣の国の城の大広間だけどね。部屋のどこかに置くから・・・・においで探してくれ。」
「ほんとかい?それは楽しみだ!楽しいクリスマスになるぞ!それなら人形にまでされた甲斐があったってもんだね!」
「じゃあ・・・今から君を飛ばすから・・・頼んだよ。伝言。」
「了解!じゃーな。蓮様とキョーコちゃん!」


――ぽんっ☆



木こりの斧の妖精が居なくなりました。
静かになった部屋で、キョーコさんは、蓮様をじっと見上げます。

「なんで・・・そんなに怒っているんです?何か私、悪い事をしましたか・・・?」
「怒ってないよ・・・・。」
「だって、妖精さんガタガタ震えていました。あんなに怖い気を発したら、妖精さんひとたまりもありません。」
「・・・・・ゴメンね。君が悪いわけでもあの妖精が悪いわけでもないんだよ・・・・・・・単なる嫉妬・・・かな。」
「・・・・嫉妬って・・・・?何に嫉妬したんですか?私が別の男の人のプレゼントに喜んでしまったからですか・・・・?」
「いや?・・・くすくす。決めた。明日・・・・君をうんと綺麗にメイクアップして、綺麗に着飾って行こう。そして、オレは周りの男どもの嫉妬をかおう。」
「メイクっ☆」
「好きだよねぇ・・・メイクって言葉。」
「好きじゃない女の子なんているんでしょうか?」
「くすくす、そうだね。・・・・おや、晴れたみたいだよ?じゃあ、庭に・・・妖精の木の実を取りに行こう。沢山持って、明日の彼らのごちそうの準備をしなくてはね。」
「そうですねっ☆今年の木の実は特に美味しいみたいで、春と夏の季節の妖精さん達は冬眠前にとっても丸くなっていました・・・・うふふ。」


蓮様は、妖精の国入り口、と書かれたドアを開けて、積もった雪の妖精の庭を眺めて、「一面真っ白だよ、キョーコちゃん。」と言いました。

「綺麗ですね!あ!雪の妖精さん発見☆」

大きなバスケットを持って出た二人は、積もりたてのやわらかい雪を、さくさく、音を立てながら歩いて、ものおき小屋に置いてあった妖精の実をバスケットいっぱいに詰めて、外に出て、幸せ鳥の鳥小屋の中を覗き込みます。

「こんなに寒いのに、幸せ鳥ってば元気いっぱい!」
「彼らに四季は関係ないみたいだね。・・・・・この鳥をうまく育てられるかな・・・・彼は・・・・・。」
「敦賀さん?」
「いや。独り言だよ。二羽、プレゼントするのを選んでおいてね?」
「じゃあ、ヘンゼルとグレーテル!この二羽で!この二羽ってばもう・・・お互いの事しか見えていないので・・・他の国に行ってもきっと幸せでらぶらぶなはずですからっ。」
「・・・・いいの?君のお気に入りの童話の名前なのに。お菓子の家・・・って・・・。」
「いいんです!お気に入りだからこそ、プレゼントになるんですから。それに、お隣の国はお菓子の国だって聞きました!子供の夢の国、なのでしょう?ヘンゼルとグレーテルはあの国のお話でしたよね?だから一度ぜひとも行ってみたかったんです!夢のお菓子の国〜〜〜〜♪」
「確かにね・・・(城が菓子で出来ているが為に・・・父がどんなに・・・オレの国もアレにしよう、と言って駄々こねたことか・・・。明日キョーコちゃんが見てもいうんだろうな・・・・『ウチもアレにしましょう?』って・・・・)」



キョーコさん、夢のお菓子の国への旅立ちはすぐ明日にまで迫っています☆






続きます☆



2007.04.12

実際のくるみ割り人形では、木こりではなく、「兵隊」さんです。