魔法の国のきょーこたん@赤ずきんちゃんと犬の王子様 その4






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「キョーコちゃん。キョーコちゃん。どうした?」
「・・・・・・・・・敦賀さん・・・・・・。」
「なんだか、すごくうなされていたね・・・何か、嫌な夢でも見た?」
「ふふ・・・初めて、敦賀さんに会ったときの夢を見ていました。」
「・・・・・・・なんでそれでうなされるんだ・・・・」
「だって、お守り・・・泉に落としてしまったんですもの。」
「あぁ・・・そうだったね。オレの耳が壊れるかと思うほど君は叫んだんだ。」
「また、久しぶりに、犬の姿になってくれませんか?抱えて、眠ります。」
「いいよ。」


――ぽんっ・・・☆



「気持ちいい・・・・この毛並みがすき・・・☆いい夢が見られそうです。」
「続きは、いい夢だといいね。」
「はい・・・・。」




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「キョーコちゃん、起きて?」
「コーン・・・・・・・。」
「今日、戴冠式、じゃないの?」
「そうでしたっ・・・・あぁっ・・・・もうこんな時間!!!」
「オレも連れて行ってくれる?」
「あなたも魔法使いなのよね?それなら、着替えてっ。時間に遅れたら、ねずみにされてしまうわっ・・・・。」
「はは・・・ねずみねぇ。」
「笑い事じゃないのよ?」
「そうだね。」


準備しておいた洋服を着て、エスコートをコーンに頼み、腕を組んで、虹色の鳥を肩に乗せて、お城に向かいました。



「れ、蓮様?」


入り口で門番が固まります。入って入り口の守衛が固まり、中にいた人々が皆動かなくなるので、キョーコさんは、「なんてすごい魔法なのかしら?」と、コーンさんの魔法力のすごさに驚きました。


「コーン、これは一体どういう魔法?半径1メートル以内の人が動けなくなる魔法?」
「さあ?」
「蓮様!何をやっておいでです。」
「何って、戴冠式に出ようと思ってね。」
「もう、そんな娘は置いて、お召し変えを。」
「彼女を私の生涯の伴侶と決めたんだ。」
「は?何と仰いました?」
「・・・・・・・え、えぇぇぇ〜〜〜〜〜〜!!!なにそれ〜〜〜〜〜〜!!!!」
「あのね。君は歩いて泉に向かっていたオレを犬に変えた張本人だよ。泉に身を清めに行ったのに・・・。歩きながら魔法を唱えていただろう・・・・。その不安定な魔法力、オレが特訓してもっと強力にしてあげよう。」
「蓮様っ。おかしな事を言っていないで、早く。そこの娘、一体何故お前が蓮様と。」
「だってコーン!!なに、蓮様って・・・。」
「蓮様はこの国の第二王子、今日成人の戴冠をされるおかたですぞ。娘、下がりなさい。」
「・・・・・え?」
「・・・・あのね、キョーコちゃん。」
「・・・・・・・・お、王子様は好きだけどっ・・・・むぅ・・・ウソをつくのはいけませんっ。」
「ゴメンね、黙っていて。ずっと君があの場まで歩いてくるのを待っていたんだよ。自分で解けない強力な魔法かけてくれたからね。君もすごく力があるんだよ?」

キョーコさんの頭をそっと撫でた蓮様は、あっちに行こう、と言って、ずんずん王宮の奥まで進んで歩いていきます。あとからぞろぞろ着いてくる人たちなどお構い無しに、奥へ奥へ。

「蓮様っ!!倖人さんはいかがされたんです。」
「そこにいるだろう?」
「どこです?」

キョーコさんの肩の上から虹色の鳥を自分の肩に乗せて、蓮様はここにいる、といい直しました。

「はあ?」
「この子が変えてしまった。」
「えぇっ。娘、早く倖人さんを元の姿に戻さないかっ。」
「えぇぇ〜〜〜〜?」
「君は動物に変える魔法を連発して唱えていた。魔力を使っているとも知らずにね。暗唱しながらお散歩していたんだろう。」
「はあ・・・一昨日は確かに、新しく覚えた魔法を暗唱していました・・・・。だって、あの道は私とショータロー以外殆んど通らないから。」
「・・・君はオレの伴侶になって、オレの魔法見習いに入るといい。」
「えーっ!!なんでっ結婚なんてっ。昨日会ったばかりです。」
「おうじさま、好きなんだろう?」
「好きですけどっ。それは物語の中のお話で〜〜〜〜。」
「だって、@頑張っていた姫が、A王子に出会い、B幸せになる、んだろう?ばっちり君の大好きな条件には当てはまってる。オレが君を幸せにする。」
「何でですか〜〜〜〜!!!」


――何でなんて理由はございません(笑)。


「白雪姫だって、シンデレラだって、人魚姫だって、出会った王子様に一目ぼれ。さっさと結婚するじゃないか。だからね、このお話にあまり難しいいきさつは要らないんだよ?分かる?」
「はい?何のお話ですか?」
「いや、こっちの話。君は、その王家の秘密の魔力が籠ったお守りを持っているし、オレの伴侶になるのには、十分な資質があるんだよ。」
「はぁ・・・。」
「コーンはね、オレの幼少期の名前。本名は敦賀蓮。」
「魔法の国の王家の、敦賀家の人?」
「まあ、そういう事らしい。それにそれは、オレがあげたんだから。君は『将来コーンのお嫁さんになるっ』って言ってくれただろう?オレはずっと君を探していたんだよ。」
「えぇ〜〜〜〜〜〜!!!!なんですって〜〜〜〜〜!!!!あなた小さい頃妖精さんだったの〜〜〜????」
「成人の戴冠式と一緒に、さっさと君をお披露目しよう!」
「え〜〜〜〜!!!!!」


――小さな頃からキョーコさんが毎晩夢見たとおり、@頑張っていたキョーコさんに、A王子様が現れて、B二人は出会ってすぐに幸せな結婚をしました(笑)。


3ヶ月ほどした頃、結婚式が済み、出会って三ヶ月とは思えない、周囲が羨むほどの仲が良い二人を祝福して、毎日のように民衆がお祝いを持ってきましたが、蓮様はある日、キョーコさんにこう言いました。

「オレはこの王宮に住むのは好きじゃないんだ。周りに人が多くて、君とゆっくり過ごせない。森の中の君の家に住む。」
「べ、ベッド一個しか〜〜〜〜。それに、おうちだってこんなに大きくないですっ。」
「オレが魔法で家なんてどうにでも作りかえられる。大きいから快適な家とは限らないだろう?」
「じゃあ私も手伝いますから、お菓子のおうちにしてくださいね?ヘンゼルとグレーテルみたいな。」
「・・・・・それに新婚夫婦のベッドなんて一つでいいよ。」
「じゃあ、天蓋っ!!眠り姫が眠っていたみたいな、レースがたくさんの天蓋のベッドがいいですっ!!!」
「・・・・はは、君は本当に、童話が好きなんだね。さあ君のうちへ行こう。そしてもっと魔法の勉強を二人でしよう。お菓子のおうちでも、お城でも、天蓋でも何でもその日の気分で決めれば良い。楽しく過ごそう。王も良いと言ってくれたしね。たまに戻ればいい。」

にっこりと笑った蓮様に、連れられてキョーコさんは王宮を出ようとすると虹色の鳥がついてきます。

「れ、蓮様〜〜〜〜〜!!!」
「倖人さん。弟と妹たちが大きくなって戴冠するまで、また付いてやって下さい。」
「うっ・・・うっ・・・。」
「またすぐに来ます。」
「蓮様、キョ、キョーコちゃんを幸せにっ。」
「はい、それは任せてください。さぁ、キョーコちゃん。行こう。」


とても楽しい二人のお話は尽きる事を知らず、毎日がキョーコさんの夢見た童話の世界です。キョーコさんのおうちは、そんな訳で一人から二人になりました。とある王子様のお姫様になった赤ずきんちゃんの話は、長いことその国のお話として語り継がれました。


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「敦賀さん。」
「よく、眠れた?」
「はいっ☆」
「それは良かった。」
「あのね?」
「うん?」
「このベッドをレースの天蓋にしてくれるって約束、どうなりました?」
「あ・・・・。」
「あと、お菓子の家っ☆」
「出会った頃の夢を見ていたんだね・・・・。それは、そのうちね。」
「敦賀さんは本当に、あの頃と変らないです。」
「キョーコちゃんもね?君の無防備さはちっとも変らない。君は無防備すぎて、傍にいないとすぐに狼に食べられてしまうよ。」

ぺろり、と真っ黒な犬の王子様はキョーコさんの顔を舐めました。

「可愛い。」
「敦賀さんも可愛いっ☆毛並みが気持ちいいの。」

すりすり、と真っ黒な犬の蓮様の身体に頬を寄せて、身体を抱きしめたキョーコさんは、言いました。


「今日もいいお天気っ!!あの泉までお散歩に行きましょう。水浴びしにっ!」







魔法の国のキョーコさん@赤ずきんちゃんと犬の王子様編 お・し・ま・い☆





2007.03.18


出会い編は童話万歳なお話にしました。かえるの王子様ってどんな話だったっけ?と思って探し出して読み、パラレルパロの出会い編にぴったりと思って書き始めたのですが、蛙になったのは蓮様ではなく尚だった上、蛙になったのにキョーコさんと結婚も出来ず、相変わらず損な役回りで終わりました・・・(笑)。


Special Thanks 激らぶ参考ページ:円環伝承
ここのページは昔から本当にお世話になっています。