【Cross 4】







想像はしていたが、マスコミと写真週刊誌の追っかけごっこはさすがに、すごいものがあった。何も答えないオレをよそに、こぞってどの女が本命かと書きたて、なぜか意図しないところで、その本命がかたまりつつあり、対抗から大穴まで写真とプロフィール、オレとの共演履歴などがずらりと書かれている。

その週刊誌にて本命にあげられている彼女との仕事は、いつもの100倍やりにくかった。彼女は勘違いしているし、現場も多分オレを同情の目で見ているのか、共演男性陣は異常な慰め合戦で迎えるし、女性陣は、気持ちが悪くなるほど・・・「女」を振りまいてくる。

温和で紳士を演じているオレも、さすがに疲れていた。

次の仕事の台本でも読もうと、いつもの隠れ場所に立ち寄る。今もし、あの鳥君が通ったら、オレを笑いながら罵倒するだろうか?と思っている矢先に、遠くから、ぷきゅっぷきゅっ、と例の着ぐるみの足音がして・・・ちょっと苦笑した。

「やぁ敦賀君・・・疲れて・・・いるね。」
「久しぶり。」
「ここで台本やってるってことは・・逃げて来たのかい?」
「そう・・・だね。」

「僕もそんなに追っかけられて見たいけどね。でも現場は雰囲気保つのに大変だろうなぁ。でもその100倍位君が大変だろうなぁ・・・・君のような温和と平和がモットーじゃ、気を配るところが沢山で・・・」

「人の噂も・・・3ヶ月もすれば消えるだろ。」

はぁぁぁぁ、と鳥君はため息をついた。

「抱かれたい男NO.1の君が、今までそういう記事が無かったんだからしょうがないよね。でも、きみもバカだね。こうなる事は予想していただろう?実際、仕事以外で疲れているんだろうし・・・?まぁ自業自得だね。でもさぁ、恋愛経験0だった敦賀君がここまでになるとは、予想できなかったよ。よかったね。」

この鳥君はオレをコケにするのがどうも好きらしい。
まぁ、もともとオレのことが嫌いだったのだから、いいのだけれど。
オレは、ふぅ、と一つ息を吐いた。

「そうだね・・・自業自得だよ。でもこれはオレが望んだ結果だから、いいんだ。」

まぁ怒ってもしょうがないので、苦笑いだけして鳥君に返した。

「わ、悪かったよ、茶化して。僕は君が疲れているだろうと思って、慰めようとおもっただけなんだ。」
「・・・・こうなる事は分かっていたんだけどね。でもあの時言ってしまいたかったんだよ。君もたまに何もかもさらけ出したい事ぐらいあるだろう・・・?」
「そっ、そうだね・・・・。」

なぜか鳥君は、とても動揺したようだった。

「前も聞いたけれど・・・どう?君は・・・本気で人を・・・好きになった?」

また鳥君は固まった。
ふるふると頭を振る姿がおかしかった。

鳥なのに。

「そうか・・・オレは気づけただけ・・・良かったんだな。」
「さ、じゃぁ僕はもう・・・行くよ。邪魔して・・・悪かったね。ま、またね。」
「君が・・・・もし誰かに本気に恋を・・・したら・・・・君は・・・どうするかぜひ教えてくれ。」

また鳥君は、足音を立てて遠くへ去っていった。

彼は一体何しに来たのだろう。
いつもここを通るけれど。

なんとなく気が晴れて、また現場に戻った。