・・・夢にまで見る想い出の中の小さな君は、懐かしくも鮮やかに美化され続けていく・・・。



Time (夢 R.Ver)



オレに向けるオレを信じきった眼差し。
オレに向けるその愛らしい笑顔。



今目の前にいる君にとっても。


変わらず美化されているであろう、その想い出。
変わらず美化されているであろう、コーン。


君が今、想い出すだけで幸せになると、ただそれだけで。
オレにとってもあの夏の日々は・・・・永く優しいものになっていく。


それが繋げる、オレと君の美化された想い出。
美しすぎて、眩しすぎて、耐えられなくなる。



川面に映るあの夏の日ざしは眩しすぎる。



――キョーコちゃん、そろそろかえろうよ。

――やだ、もっと一緒にいるっ・・・。


あの日に帰れるわけではない。


けれど今でも変わらない君の笑顔の矛先が、幼い頃のオレにあるなら、どうかそのまま・・・。

記憶の中の君はいつでも涙を堪えながら現われて、最後は笑顔に変わったから。
君があの時を想い出すだけで笑顔になれるなら、どうかそのまま・・・。


結局オレはコーンでありたいのか、オレはオレでありたいのか・・・。


美しすぎる想い出は、懐かしくも儚くて遠い。
やがて今この時も美化されて・・・懐かしくなるのだろうか?

だから想い出が呼び起こす、この虚しさにも似た淋しさを・・・食い止める術があるなら教えて欲しい。

――君が向ける笑顔の矛先を、オレだけに向けて欲しい。
――想い出せば幸せになる矛先が、オレになって欲しい。


――今度は今のオレが、君の笑顔の素になってあげられたらいいのに・・・・。
――君がコーンに向けるその純粋な笑顔を、オレの手にしてみたい・・・。


君の存在それ自体が、君にとってのその石と同じ。
君がオレの全て。

君の何気ない笑顔と優しさに救われて、
君の何気ない仕種にオレの中の何かが崩れ落ちていく。


――もし赤い糸なんていう物があるのなら、君をこの腕の中に抱いたまま捲き取って、もうどこにも行かないように・・・・離れられないようにするのに・・・・。


「つーるーがーさんっ。」

君はいつから、オレの名前を笑顔で呼ぶようになっただろう?

「お待たせしました。社さんも向こうにいますよっ?」

君の中のオレは、一体どんなモノなのだろう?

以前君があの石に向けた笑顔と今オレに向けるその笑顔は、全く変わりのないように見えて、なぜかとても救われた気になる。

「最上さん。」
「はい?」
「なんでもないよ。」
「どうしたんですか・・・?」
「いいや、なんでもないよ、くすくす・・・。」

願わくば、もう一生君の傍から離れたくなどない。

想い出などにしたくない。

いつか呼ぶ事が出来るだろうか?

夢で呼ぶだけで・・・想い出すだけで、心が優しくなる魔法の言葉・・・。


「・・・・キョーコちゃん・・・・」

「・・・・・・・?どうしたんですか・・・・?」

「ん?どう呼んで欲しいかなと思って。」

「べ・・・べつに・・・今まで通りで・・・。あっ・・・・敦賀さんっ・・・もしかして、熱、ありません?」

――・・・魔法の言葉は、しばらく心の中に封印かな・・・。

「熱?ないよ。」
「そ、そうですかっ・・・それは良かったです・・・。」
「社さんも他のみんなもそう呼ぶだろ?だから一応聞いてみた。」
「あ、そうですねっ・・・。」

――キョーコちゃん・・・・

「そろそろ帰ろうよ。」

「あ、はいっ。」

――今は・・・即答だよね・・・。

「くすくすくす・・・・。」
「・・・・?」
「まだ帰らない・・・って駄々こねないなと思って。」
「敦賀さん・・・・やっぱり熱、あるんでしょう?」


――君はいつも、オレの心配ばかりしているよね・・・。


「くすくす・・・・。ねぇ最上さん、お願いがあるんだけど。」
「はい?」
「笑って?」
「・・・・・?????や、社さんっ・・・・敦賀さんがなんだかさっきからおかしいです。撮影がハードすぎて・・・なんか疲れて熱あるみたいでっ。あの、敦賀さん、早く帰りましょう?ちゃんと運転できます?」
「蓮?」
「熱は無いですよ。最上さんが笑ってくれないから。オレ何にも悪い事してないのに・・・。」
「・・・・?ふふ・・・・。もう、敦賀さん、今日は朝からずっと、つじつまが合わない話ばっかり。思いつきだけで話す子供みたいです。」
「ようやく笑ったね。・・・くすくす・・・。」
「蓮・・・・?」

いつか君の半身の喪失感が消える日が来たら。
その時君の傍にいるのがオレだといい。


約束などあるわけではないけれど・・・。



昔・・・君とオレが交わした、夢のような魔法の言葉と想い出は・・・そうして哀しいほど純粋に、心の中で輝き続けていく・・・。









2005.12.22 作 旧タイトル「夢」

2007.03.29 御題側へ移動
何となく作風がタイトルっぽい流れなのと、趣味に走っているので、移動させたかっただけ。タイトルはコレが一番しっくり、かな。