FUSHIDARA 100%


「蓮、明日はお休みどうするの。」

社さんは横で運転する敦賀さんにそう告げた。
私は敦賀さんの車の中で、後ろから二人を見守るばかり。

「え?どうもしませんけど・・・。」
「キョーコちゃんも明日お休みだよね?」
「えっ?えっと、はい。」
「だよね〜。ふふん。」

にんまり、と振り返り私を見た社さんは、「春だよねぇ〜」と意味不明な独り言を繰り返していた。

「じゃー二人ともおやすみ。また明後日ね。」

社さんを降ろした後、私は敦賀さんに「社さんの頭の中が春みたいですけど…何かいいことあったんですか?昇格したとか…。」と尋ねた。

「さぁ?いつもあぁだからね…。」

敦賀さんはそれだけ口にして、私の部屋に着いた。

「敦賀さんっ。見てくださいっ!!春になってイチゴが美味しくなったので、朝作っておいたんです。」

敦賀さんの前に冷えたイチゴゼリーのガラスの器を置く。透明なぷるぷるの中に半分に切ったイチゴがたくさん。キウイも桃缶も少し切って入れて。

「ね???綺麗でしょう?」
「うん。春らしいね。」

「えぇぇぇ〜〜〜。食べたいとか…美味しそう、がいいですっ。」
「くすくす・・・欲しい感想決まってるんだ?」

「む〜〜〜〜。敦賀さん、フルーツでも顔が動かないっ。何を作ったら、「美味しそう」とか「食べたい」って…言うんです???」
「さぁ・・・・?どれでもキョーコちゃんが作ったのは美味しそうだし、食べたいと思うけど…。」

「もう!!!社さんが作っても同じ事いいそうです。それこそ他の女優さんがロケで差し入れしても、同じ事言うんでしょう〜〜〜〜!!!!」
「こらこら。どうした?何で今日はそんなに機嫌が悪いの。」

むぅ、と口先が歪んで、敦賀さんのシャツの裾をぎゅっと握って。
今日の撮影現場で私は「血糊べったり、殺される役」で。
役を貰えるのはありがたいまでも、またそんな役〜〜〜!!と、少しだけ不満なのは確か。何となく、久々に会えた敦賀さんに優しくして欲しかった。


「今日はエイプリルフールですよっ。ウソでいいから、私にも他の女優さんみたいに紳士な敦賀さんでいて欲しいです。」
「却下。」

「何でです〜〜〜〜。恋人として、せめて一番優しく扱って欲しいって思っちゃダメですか?」
「ん〜。恋人ならなお更紳士にはなれないね。一番優しくは扱うけど。」

「どう違うんです・・・・。」
「くすくす・・・・。君が機嫌が悪いのは…最近会えなかったから?」

「違いますよっ。血糊べったりが気持ち悪かっただけです。恋人に殺される、役でしたし。相手役を敦賀さんに置き換えてやったら…悲しかっただけです。」
「寂しかったの?」

――私が役にすぐ感情移入するの知っているくせに。

思い出してまた少しだけ悲しくなって、「違うもん・・・・」と少しだけ強がりを口にした。そう言うと、子供にするように頭を撫でてくれて、そっとおでこに唇をくっつけた。

「今日会えるの楽しみにして、朝からこれ作ってくれたんでしょ?」
「・・・・はい。」

そんなのだけで尖らせた唇が大人しくなってしまうんだから、敦賀さんってずるい。私の手なずけ方…世界で一番知っていると思う。

「これはじゃあ・・・あとで食べるとして・・・」

ちゅっ・・・ともう一度おでこに唇をつけると、私のベッドに…抱えられた。

「時間は、たっぷりあるよ。明日は仕事お休み・・・・はウソじゃないよね。優しいのがいい?優しくないのがいい?エイプリルフールだからどっち答えられても、いいけど。」


・・・・・・・・・・。


「あ〜〜〜〜〜!!!!日付もう越えてます〜〜〜〜!!!」
「それもウソかもね。もう、逃げられないよ。今度はオレが君を愛し殺してあげる。」



――久しぶりにウソ吐きスマイルを見たわ・・・・・。



ウソをついていい日は、人の話を聞かなくていい日ではありません。
だけど敦賀さんにエイプリルフールは、鬼に金棒、振ってはいけない話題みたいです。






PS:後日。社さんが再びにんまり笑って、私に言いました。「久々の二人の休日はどうだった?」って・・・・・・・・。本当の事など到底言えません。エイプリルフールじゃないけどウソついてもいいですか?
















2006.04.02


このタイトルだけに残るかなと思っていたので使えて本望です。
私の頭の中が一番FUSHIDARA250%(当社比)だよね、と・・・(。。;