BAD COMMUNICATION



――ロング副題:『初期の創作ノート復活第二弾。ピンで書いて没にしたらしくノートに埋もれていたもの。その後、何故コレが「Daydreamへ入れ込む!」と指示されているのかを、「どこを吸い上げるつもりだった」のかを、当時の自分に聞いてみたい(笑)、の小話@せっかくだからノートをそのまま乗せてみよう!編。もはや本当のタイトルが何だったかを忘れた頃でしょう。繰り返すと、「BAD COMMUNICATION」の巻(苦笑)。』




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「最上さん、結婚しよう?」


にっこりと綺麗な笑顔で彼はそう告げた。

「・・・・・・はい?(冷)。どうしたんです・・・いきなり・・・・。」


――きゅらきゅらきゅら〜〜〜〜〜〜〜☆


似非笑顔だと確認したキョーコは、また遊ばれているのだと気付き、再び台本に視線を戻した。

「・・・・別に?」
「“別に”で済むような台詞、なんですか?それ・・・。」
「言ってみたかっただけだもん。最上さんにしか言わないよ。」


キラリ、と後光が差し込んだ彼を疎ましげにちら見した彼女は、「私だけにしておかないと、普通は本気にしちゃう女優さんしかいませんよ。」と口にした。


「君は本気にしないの?オレ、ふられてばかりだから・・・・というか・・・誰も相手にしてくれないんだけど。本当に結婚できるかどうか分からないし・・・・オレを貰ってよ。」
「は?」
「君が彼に復讐する道具としてはお買い得だと思うんだけど?」
「道具って・・・・。」


更に『何を言っているのか?』という表情をした彼女は、

「敦賀さん・・・・。結婚したい病にでもかかっているんですか?」

と軽口を叩いた。

「んー・・・・どうかな?」
「ただ彼女が欲しいだけなら・・・・選べる相手は山ほどいるでしょうに・・・・。ふられてばかりでいいじゃないですか。相手してくれる人、いるんですから。」
「だから、最上さん、結婚しよう?」
「もう!!!!!」


キラキラフラッシュを飛ばして笑う彼に、相手に出来ない上、台本を覚えさせて、と文句を言って、キョーコはその場を離れた。





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「最上さん、結婚しよう?」


・・・・・・・・・・。

「あの・・・またですか?さっき・・・女優さんにしっかり迫られていたじゃないですかっ。あの人なら美人で優しくて綺麗で、スタイル良く、心配りも出来る上・・・演技力は抜群。得意は料理、らしいですよ?どこに不満があるんです・・・・。」

「どんな条件が揃おうと・・・食指が動かないって言うの・・・?」

「・・・・・いいですね、よりどりみどり・・・って。」

「最上さん、オレにしなよ?」

「敦賀さんですか?イヤですよ。日本中を敵に回したくありません。それじゃなくてもアイツのプロモのせいでイヤガラセが多いのにっ。芸能界に来てまで・・・っ!」

「あっさりとイヤだなんて、ショックだよねぇ・・・・オレがこんなにも心をこめて“結婚しよう?”って言っているのに・・・。」

首を左右にふるふる振り、残念そうな顔をした蓮を見て、少しだけ良心が痛んだらしいキョーコは、ついついいつもどおり優しく返事を返してしまった。

「心をこめて?」

「・・・・・・・コレでも落ちない?」


・・・・・・・・・やっぱり・・・・・・・・・・・・!!!!


「“誰にも媚びない・靡かない”京子を誰が落とすか。・・・・さては見たんですね?ワイドショー。私・・・ゲームの対象にされるのイヤです!!」

くすり・・・・とキョーコの言う事に笑った蓮に、キョーコは「カチン」ときたのか、あからさまに嫌そうな顔をした。

「確かに・・・君は誰にも靡かないね。テレビは見ていないし・・・ゲームなんかでもないよ。」
「じゃあ、なんです。」

「だからね?愛しているから、結婚しよう?」
「・・・・・・・・!!!!」

「落ちる?」

「む・・・・・・・。前に“愛してる”をつけただけじゃないですかっ!!!騙されませんよ?私。」

「オレが、誰にでも言うと思ってる?」

「・・・・・・・敦賀さん、結婚させてください。・・・・・・ホラ、言うだけは誰でも出来ます。」

「オレ、君に落ちるから、結婚しよう?」

「えーーーーーーーーーーーー!!!!」



**********


それからどれぐらいの年月が経ったのか・・・・・。


ソファーにて共に台本を覚えている蓮に、キョーコは後ろから首に抱き着いて、ささやいてみた。


「蓮・・・・・。」
「何?」
「結婚して。」
「ん・・・・・・。」
「・・・昔みたいにもう“結婚して”って言ってくれないっ。」
「オレ、もうイヤというほど沢山言ったもん。」
「肝心な今、言ってくれなきゃっ・・・・!!!」
「言って欲しい?」
「・・・・・・もうっ!!!知らないっ!!!」

膨れたキョーコをなだめるように、くすくす笑って蓮はキョーコの手の甲に口付けた。


その表情に照れたキョーコは、一転、「蓮・・・・」と弱く口にした。

「何?」

「どうでもいいけど・・・・前は“好き”とか“付き合って”の前に・・・“結婚して”だったのよ?今私が言っているのとは重さが違うんだけど・・・。」

「同じだよ。一番リアリティがあるだろ?でもね・・・キョーコちゃんに「結婚して?」って言って貰うのがすごく好きで・・・。しかもホラ、用紙一つでいつでも済むだろ?その作業を終えたらもう「結婚して」って言って貰えなくなるんだから。」

「もう!!!つまらない事で楽しまないでっ!!!!こっちの身にもなって欲しいわ・・・・いつ蓮が他の女優さんにまた「結婚して?」って始まるか分からないのにっ。」

「始まるもなにも・・・昔から言っているじゃないか。君にしか言わないって。」

「じゃあ、今言って。」

「言わないよ。」

「・・・・・・・・もう、蓮なんて嫌いっ!!」

「言ったら好きなの?キョーコちゃん・・・もしかして、「結婚したい病」なわけ?」

「蓮が好き!!だから結婚して。病気でも何でもいいからっ。」

「くすくすくす・・・・もう、売り言葉に買い言葉で結婚するなんて無いだろう。君の事だからね、ものすごく可愛らしいプロポーズの場面を想像しているんじゃないかと思って・・・。まあ・・・そのうち言うよ。そういえば・・・君は随分とオレに落ちたみたいだね。・・・・くすくす・・・・。」

「蓮て・・・底なし沼なんだもの。ずるいわ。私ずっと落ちてばっかり。」

「君はブラックホール。抜け出せない。オレを引き寄せる力はホント強力だよねぇ。」


蓮はくすくす笑ってご機嫌にキョーコの唇を割り、ソファに横たえて、さらにその唇を割っては絡める。キョーコの髪の毛を撫でながら、耳の辺りに大きな手を添えて、じっと見つめた。


「・・・・ね・・・蓮。・・・なんだかんだ・・・・話、はぐらかしてない?」

「・・・・・・キョーコちゃん・・・・・・。」

げんなり、とした顔をした蓮に、キョーコはうるる、と目を潤ませる。

「・・・・・やっぱり私と付き合ったのもゲームだったのよ〜〜〜!!!」

「じゃあ、今すぐ二人の子供でも作ろうか?」

「えーーーーーーーーー!!!」

「どうせ順番が最初から違うんだから・・・・いいじゃないか。」

「そっ・・・そういうのはっ!!!!」

「ホラ・・・あともう少ししたら「子供が欲しい」って・・・オレに言うんだろ?」

「・・・・・いっ・・・言いませんっ!!!」

「そうかな?」

「そうですっ。・・・あの・・・・でも・・・・あのね?・・・・・・・・蓮の、赤ちゃんが、欲しくないわけじゃ、ないから・・・・ね?」

「くすくす・・・・可愛いよねぇ、君は。」

「もう・・・っ・・・・・・・・。」





――どちらにしてもとても積極的な超絶偽な蓮様とキョーコさんのお話でした。










2007.04.06
(実際作成時期は2005年11月ごろ。)


かつての二人のような、「取っては返すあや取りのような会話をする二人」も好きだったんだと思います(笑)。