Act 99: 抱擁直後妄想

1 Act 99: 抱擁直後妄想 (K side)


あったかい…。
敦賀さんの腕の中って、暖かくて、いい香りで…、
とっても落ち着く━…
目をつぶりながらその心地よさに酔っているうちに急に思い出したさっきの場面。


『…━━あんた… 何者だ…? 『敦賀』『 蓮』? それ… 偽名 だよな…。
あんた だって 昔は どう見ても 外…━━…」

『…君は面白い事言うね。普通そういうのは偽名とは言わないだろう。
「敦賀蓮」 確かに芸名だけど? それが何か?』


さっきのビーグルと敦賀さんのやりとり。
別に大した事ではないはず。

敦賀さんの言う通り、この業界、本名と芸名が違う事なんて当たり前みたいな事。
あのバカだって、本名は絶対知られたく無くって 芸名で通してるんだし。


…でもー…。


モゾモゾと顔を動かして見上げると、 目の前に覗き込む端正な顔。
あまりの神々しさに目が眩みそうー……!っていうか、絶対眩む!


「最上さん…?」
「そ、そういえば…敦賀さんの本名、なんておっしゃるんですか?!」

真っ赤になった顔を必死になって隠そうと、少々俯きながら、頭に浮かんだ事をそのまま聞いた。

「え?」
「さっき、敦賀蓮は芸名だって…」
「あー……知りたい?」
「は、はい!興味あります!」
「…どうして?」
「だ、だって、敦賀さんは私の本名ご存知で、私の事いつも名字で呼ぶじゃないですか!私だけ、敦賀さんの本名知らないなんてずるいです!(そう言えば、なんでかな?)」

「…キョーコって呼ばれたい?」

「はい?」
「呼び方、「キョーコ」にした方がいい?」
「(ッて敦賀さん!なんで夜の帝王モードなんですか!!)い、いえ!そう言う意味では無くてですね」


「…(ボソ)やっぱり俺にはそう呼ばれたく無いんだ…」


「敦賀さん?なにかおっしゃいました?」
「いや別に?(キュラキュラ)教えてもいいけど、聞くにはそれなりの覚悟をしてもらわないとね」
「か、覚悟って?」
「俺の本名は社長しか知らないトップシークレットなんだ。それを知るからには、たとえば一生俺のマネージャーやろうとかもしくは俺と結婚しようとか」


これ以上は無いってくらいの帝王スマイルで耳元に囁かれる。
ちょっと待って!この体制!
そう言えば、私まだ敦賀さんの腕の中だった!
しっかり抱きしめられてて逃げ場が無い!


「や、やっぱり結構ですぅー!!すみません、変な事お聞きして!!私、先に行ってますね!」


力の限りで敦賀さんを突き飛ばす形で腕から脱け出し、慌ててホテルの方へ駆け出した。


つ、敦賀さんの天然いじめっこーっ


火照る顔とドキドキバクバク言う心臓を押さえながら、心の中で敦賀さんに悪態をつきつつ、あの暖かさから離れてしまったのが、寂しいー、なんてちょっと思った事は深く考えないようにしておこう。




************




Act 99: 抱擁直後妄想 (R side)



俺の腕の中にすっぽり納まる小さな身体。
女の子らしい、甘い薫り…。


腕の中の彼女は、目を瞑ったまま俺の胸に身を預けている。
さっきまでボロボロと泣いていたけども、やっと落ち着いたようだ。
不謹慎だけれども、彼女の泣き顔も可愛かった。

このまま誰にも奪われないよう、この腕の中に閉じ込めてしまいたい…。

そんな事を思いながら彼女を見詰めていたら、今まで目を瞑っていた彼女がモゾモゾと顔を動かして見上げて来た。まだ潤んだ瞳に上目遣い。


そ、その表情(かお)は反則だろうっ


一瞬、顔が硬直したが、彼女もすぐにまた俯いたので見られなかったようだ。


「最上さん…?」

「そ、そういえば…敦賀さんの本名、なんておっしゃるんですか?!」 と、慌てた感じで聞かれた。


「え?」
「さっき、敦賀蓮は芸名だって…」

おそるおそる見上げられる。

「(だからその表情はまずいんだって…!)あー……知りたい?(とは言え、言う訳にはいかないだろうっ)」
「は、はい!興味あります!」
「…どうして?(そう、どうして?)」
「だ、だって、敦賀さんは私の本名ご存知で、私の事いつも名字で呼ぶじゃないですか!私だけ、敦賀さんの本名知らないなんてずるいです!」


ー…言われてみればそうだな。もっともな正論だ。
…この子にもっと深い意味を期待した俺が馬鹿だろう。
…しかし、それはそれで腹が立つ。


「…キョーコって呼ばれたい?」

少し意地悪する気になって、彼女に思い切り微笑む。自慢では無いが、この微笑みに落ちなかった女はいない。

「はい?」
「呼び方、「キョーコ」にした方がいい?」
「い、いえ!そう言う意味では無くてですね」

俺の雰囲気にびっくりしつつも、しどろもどろ出てくる答えは案の定。
そう簡単にうまくいく訳ないよな…。

「…(ボソ)やっぱり俺にはそう呼ばれたく無いんだ…」
「敦賀さん?なにかおっしゃいました?」
「いや別に?(キュラキュラ)教えてもいいけど、聞くにはそれなりの覚悟をしてもらわないとね」
「か、覚悟って?」
「俺の本名は社長しか知らないトップシークレットなんだ。(これは本当)それを知るからには、たとえば一生俺のマネージャーやろうとかもしくは俺と結婚しようとか」

と、彼女の耳元に囁き、抱きしめている腕に力を込めた。
彼女の顔が、紅くなったり、青くなったりしたと思いきや
ドン、と彼女に胸を押され、俺自身は微動だにしなかったが、その拍子で俺の腕が彼女から離れた。さすがにびっくりしてたら、耳まで真っ赤にした彼女が

「や、やっぱり結構ですぅー!!すみません、変な事お聞きして!!私、先に行ってますね!」


と慌ててホテルの方へ駆け出して行った。
人も気も知らないで…。


予想通りの反応に苦笑しつつ、あっという間に小さくなって行くその後ろ姿を眺めながら、 溜め息をついた。


未だ彼女の感触と温もりが残っている両腕を眺めながら、コーンの…、俺のために泣いてくれたあの子の想いに喜びを感じつつ、あのまま閉じ込めてしまいたかった気持ちは否めない。



参ったな。余計な欲が出てきそうだ…。



FIN (January 27, 2007 by markura)






2007.04.01

Specialr Thanks to markuraさまv

いつも遊びに来てくださっていたmarkuraさまよりゲットその1☆
ありがとうございますv

Act.99の抱擁後の二人ってどうだったんだろう!!と悶えたのは私だけではあるまい(笑)。やっぱりどうにかキョーコからいつものように離させたのかしらね?とかまた妄想が広がり、大変楽しませていただきましたvvv

--敦賀さんの天然いじめっ子ー!!!

と言って走り去るきょーこたんを想像するともう可愛くて可愛くて(笑)、蓮が眠れず夜通し妄想した最悪パターンのキョーコさんの逃げ出す場面を思い出しました(笑)。そして

--やっぱり俺にはそう呼ばれたく無いんだ…
って拗ねる蓮が可愛い(大笑)。

本誌のように勢いとギャグのある作品を頂き本当にありがとうございました。
私、そういうのすごく好きみたい(笑)←自分じゃ書かないから(笑)。

まだ沢山貰ったので順番にUPしていきますね。
改行背景は私好みにしていいという許可を頂きましてありがとうございましたv
私好みの改行とスタイルシートを適用してあります。