RESCUE ME




ガチャ。


蓮が玄関の扉を開けた。目の前には女性ものの可愛らしいパンプスがキレイに揃っていた。


「キョーコ?」


キョーコがこの部屋にいるならばドアを閉める音で反応するのだが、今日に限ってお出迎えがない。淋しいな、と思いつつ廊下をペタペタと歩く蓮。バスルームの前を通り過ぎようとしたその時。



〜こころは〜くうをさく〜ごーれーをきいた〜はねうま〜の〜よーにらんぼ〜だけーどおお〜♪



「ん?」




恋人の家の広い広いバスルームに響き渡る歌声にはエコーがかかっている。歌声の主は頭にたたんだ白いタオルを乗せて極楽極楽だとばかりにお風呂を満喫している。


キョーコは昨日群馬でのCMのロケから帰ったばかり。現地では何時間も温泉に浸かりっぱなしだったのだが、それでもとても楽しかったらしく、仕事帰りに思いたって蓮の部屋の広いバスルームを拝借して温泉気分に浸っていたのだった。バスタブに張ったお湯の中に現地で買った温泉の素を入れ思い切りくつろぐ。


「楽しかったなー・・・・あの撮影・・・。」


女3人で仲良く温泉旅行。1人で露天風呂に入ってのんびりしていたら他の友達がいきなりお風呂に飛び込んできた。広いお風呂で思わず3人で泳いでしまったり、お湯をかけっこしたり。最後にはのぼせそうになっちゃったり。歌も歌ったり。


そして
「もうだめだー」
と岩に寄りかかり、3人とも浴衣を着てポ○リス○ットをぐびっと飲んだ後きゃあきゃあとはしゃぎながら次のお風呂へと走っていく。



朝からずーっと温泉に浸かりっぱなしだったにも関わらず、女友達と仲良く温泉旅行というシチュエーションにいたく感動したキョーコは終始ごきげんで撮影に臨んでいた。その笑顔があまりに自然で可愛らしくて、CMがオンエアされた途端かなりの反響を呼んだのだった。



「・・・うふふ。今度はプライベートで温泉に行けるといいな〜。敦賀さんと一緒なのが一番だけど・・・・ここは女の友情でモー子さんかな。」


うふふ、と独り言を呟きながら温泉に思いを馳せる。足を伸ばし、思い切りくつろぎながらCMで使われていて今回自分でも口ずさんだ「ハネウマライダー」を歌っていたその時。


コンコン。


バスルームのドアをノックする音が聞こえ、キョーコが視線をドアに向ける。

「御機嫌だね、キョーコ。」


湯煙漂うバスルームのドアの影には家主である長身の男が佇んでいた。


「あ!敦賀さんっ!!!お帰りなさい!!勝手にバスルーム使ってますっ!!」
「ただいま、キョーコ。・・・・・それはいいんだけど・・・よっぽど楽しかったんだね、ロケ。歌声が廊下まで聞こえてきたよ。」
「はい!それはもう!!入りっぱなしで何度ものぼせそうになったんですけどね。」
「・・・・・・なんだか俺もそこに行きたくなっちゃったな。」
「だめです!!ちゃあんとキッチンにごはんが用意してありますから食べてくださいっ!!!」


バスルームの奥からきっちりダメ出しをするキョーコに蓮はやや残念そうな顔をしつつ、「はいはい。」とくすくす笑いながら脱衣所から立ち去った。



そして30分が経過した。蓮は夕食を1人淋しく済ませ、食後のコーヒーを淹れてキョーコとくつろごうと思っていたのだが、一向にキョーコがバスルームから出てこないのだ。気になった蓮はバスルームへと向かい、再びドアをノックする。


「キョーコ?どうした?何かあった?」


しーん。



返事がないので思い切ってドアを開けてみた。するとそこにはバスタブから身を乗り出してぐったりしているキョーコがいた。


「キョーコ!!!」


慌てて蓮はキョーコの元に駆け寄り、表情を伺った。


「キョーコ?どうした?のぼせたのか?」


ペチペチとキョーコの頬を軽く叩く蓮。それに反応したキョーコが目を覚ました。


「つ、敦賀さん・・・・・・もう・・・・・だめ・・・・・」
「キョーコ!!ほら、しっかりしないか!!」


蓮は無理矢理キョーコをバスタブから出し、脱衣所に置いてあったタオルをキョーコの身体に素早く巻きつけ、抱き上げてベッドに運んだ。



「ほら。本当はこれを中で飲みたかったんだろ?」


蓮はそう言って自分に凭れかかるキョーコにポカ○ス○ットを持たせた。キョーコはすぐにそれを蓮から受け取り、ゴクゴクと勢いよく飲む。


「ふう・・・びっくりさせないでくれ。風呂でのぼせるなんて・・・よっぽどお風呂が楽しいんだね。」


呆れた口調の蓮がため息をつきながらキョーコを嗜めた。キョーコはポカ○ス○ットを飲んだ後どさりとベッドに倒れこんだ。そして枕に顔を埋めてつぶやく。


「ごめんなさい・・・・・・だって・・・・・・・・。」
「ん?」
「・・・・・・・・・・」
「?何か・・・言った?」
「・・・・・・・・・なんでもないです。」
「なんで?」
「・・・・・・・・・・・今は・・・・もう・・・・・無理だし・・・・・・」
「何が無理なの?言えない?ん?」


ちらりと横を向いて蓮の表情を伺うキョーコ。そこで目にしたキュララスマイルを全開にされてはキョーコも黙っている事は出来なかった。


「・・・・・・敦賀さん・・・・・いつ入って来るのかなあ・・・・・・って。・・・・・もうダメです!!これ以上言えませんっ!!!」


真っ赤になりながら小声で告白したキョーコは蓮の顔を直視出来ずに再び枕に顔を埋めた。


蓮はキョトンとしながらもキョーコの可愛らしく、そして大胆な発言に先程以上に表情を緩めた。


「君は・・・・なんて・・・・・」

蓮は突っ伏しているキョーコに覆いかぶさるように優しく抱きしめた。

「かわいい事を言ってくれるんだろうね。」
「・・・・・・・・・」
「じゃあ・・・それは明日にしよう・・・ね?」


耳元で囁かれたキョーコは更に顔を真っ赤にさせる。
蓮の声はキョーコにとっては一種の媚薬。逆らう事は許されない。


「あ・・・・・・は・・・・・い。」
「返事・・・確かに聞いたからね・・・・?明日はちゃんと待ってるんだよ・・・・?」


蓮はキョーコの頬を掌で包み込む。
そして顔を近づけた。


「あ・・・・・・。」



その先をやめる事はなく、お風呂に入りたてのキョーコのシャボンの香りがする身体に触れる蓮。

キョーコの「いつ入ってくるか待っていた」発言にいとも簡単に理性を崩す。そしてキョーコも自分の口から初めて挑発的な言葉を蓮に告げたのをわかっているのか、いつになく甘美な声を部屋に響かせた。昂ぶる気持ちは抑えられる事のないまま、二人の身体はやがて1つに交わる。



お風呂でのぼせ上がって体力が消耗していたのにも関わらず蓮との激しい情事に身を焦がしたキョーコの身体は既に限界に近かった。


「もうだめだー。」


キョーコはそう呟いて枕もとのポ○リス○ットに手を伸ばした。
すると蓮がキョーコよりも先にペットボトルを手にし、それをゴクゴクと飲んでしまう。


「あ!私の!!」


蓮からペットボトルを奪おうとベッドから身を起こそうとすると、そこに蓮がいきなり顔を近づけキョーコにキスをした。ごくり・・・とキョーコの喉が鳴る。


「喉・・・潤った?」
「・・・・はい・・・・・。」
「さっきの『もうだめだー』が可愛くて・・・思わずキスしたくなった。」
「れ・・・ん・・・・」


無意識に「蓮」と呼んでしまったキョーコ。それにすかさず反応する蓮。


「今・・・・俺の名前呼んだね・・・・・・・・?」
「あ・・・・・」


愛らしい唇から紡がれた「蓮」という名前。何度も何度も名前を呼んで、と頼んでいても未だに呼ぶのに抵抗があるのかなかなか名前を呼んではもらえなかったのに。


こうなってしまったら蓮の身体はいう事を聞かない。
もう抑えられないとばかりにキョーコを抱き上げた。


「つ、敦賀さん・・・?」
「・・・・・・キョーコ」
「は・・・い」
「一緒に温泉入ろうか?」
「あ、明日ってさっき言ってなかったですか・・・・?」
「・・・・・もう日付変わってるよ?キョーコさん・・・・・・?」


キョーコはベッドサイドの時計を見て硬直した。確かに午前0時を回っていた。時計を確認するやいなや蓮はキョーコを抱き上げたままスタスタとベッドルームからバスルームへと移動する。


「そ、そんな・・・!明日私仕事なのにっ・・・・・・」
「俺も仕事。」
「だったら!!」
「だめ。さっき俺の名前を呼んでくれたからすぐ元気になってしまった。もう・・・蓮としか呼ばせないから。」


ニヤリと浮かべた魔性の微笑みにキョーコはいとも簡単に堕ちていく。




もうだめ。助けて。



それはお互いの身体が、脳がお互いを求めてやまない心の叫びだった。







2006.11.1


Special Thanks to SanaSEED様


我が家の一周年記念にお祝いを頂いちゃいました!!わーい!!めちゃくちゃ嬉しいです。

それにしても、な、なんですかこのらぶらぶっぷりは!!まさかSana姉さまがココまでノリノリ(←?)なのを書いてくださるとは予想もしていなくて悦に浸っておりまする(笑)。最初読みながら「キョーコx敦賀さん」の組み合わせっていうのも珍しいのねん」なんて思いながら読んでいたのですが、しっかり・・・しっかりオチが!!!きゃー(赤面)。一本取られました(笑)。きょこさんいじらしすぎる…カワエエ。今日はもう寝られない上何度も名前言わされるんでしょうねえ・・・ポ○リ口移しで飲まされて何度も・・・ね(ニヤ)。とまあ、やっぱり妄想暴走させて頂けるSana様に大感謝!ポ○リがココまで萌えネタになるとは・・・きょこさんの身体も心も潤わせてくれるありがたーい〜ブツですね!!ふふふ〜幸せ幸せvvv

Sana様、お忙しい中お祝いを頂きまして本当にありがとうございましたvv私の心もスゴク潤いました〜!!これからも宜しくお願いいたします☆